高校サッカー選手権、予選で敗れた実力者=プロの舞台で活躍を誓うJ内定選手たち

安藤隆人

Jリーガーも驚くスピードスター・平岡

U−17W杯で活躍した渡辺など前橋育英には来年も非常に楽しみな選手たちがいる。彼らには来年の活躍に期待したい 【写真:FAR EAST PRESS/アフロ】

 平岡はこの年代では圧倒的と言っていい、突出した“スピード”という武器を持つ。ボールを持ったら、“ギュン”と一気にギアを上げ、相手をぶっちぎっていく。1年生の時はただスピードに頼るだけの単調な選手だったが、作陽の3年間で、緩急をつけるハイクオリティーなフットボーラーへと変貌を遂げた。

「自分のスピードをどう生かすのか。周りをうまく生かしながら、自分の特徴を効率よく生かす。より周りを見ながら、状況判断を高めながら、思い切って行くところは思い切って行ける選手になりたい」(平岡)

 2年時に出場した選手権では2回戦の富山第一戦で、試合終了間際に度肝を抜くドリブルからのロングシュートでチームを救うなど、ベスト8進出に大きく貢献した。今年もU−17日本代表候補に選ばれると、プロを相手にした練習試合で、自慢のスピードで何度もぶっちぎり、Jリーガーたちに「異常なくらい速い」と舌を巻かせた。

 平岡はFC東京、浦和レッズ、ジュビロ磐田など数球団の争奪戦の末に、FC東京への加入を決めた。今大会では注目の選手の一人になるはずだったが、選手権予選の決勝で玉野光南(岡山)に敗れ、涙を呑んだ。あの『異常な』スピードが選手権で見られないのは残念だが、プロの舞台で惜しげもなく披露してくれることを期待したい。

次のステージで輝きを見たい

 前橋育英にはU−17日本代表としてW杯を戦ったFWの渡辺凌磨、MF鈴木徳真の2年生コンビのほかにも、多くのタレントがおり、大津には優秀な2年生がいた。この両チームに共通するのが、来年も非常に楽しみなチームであること。彼らには来年の活躍に期待したい。

 他にも横浜F・マリノス入りが内定しているDF北谷史孝、ヴィッセル神戸入りが内定しているFW金容輔(共に大阪、興國)、湘南入りが内定しているDF福岡将太(東京、実践学園)、U−17日本代表のFW瓜生昂勢(福岡、筑陽学園)も活躍が見たかった逸材たちだ。

 そして、これはやむを得ないが、千葉県予選決勝でインターハイ決勝同様に市立船橋に敗れた流通経済大柏。高円宮杯プレミアリーグチャンピオンである彼らが見られないのは、非常にもったいない。アルビレックス新潟への加入が内定しているMF小泉慶、名古屋グランパス入団内定のMF青木亮太はぜひ見たかった逸材だ。

 志半ばで敗れ去りし者たち。彼らにはぜひ用意されている次のステージで光り輝いてほしい。

<了>

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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