難病と闘う大隣が歩む、未開の復活ロード
「ツラいリハビリ」当てはまらない、底抜けの明るさ
フェニックスリーグで実戦復帰を飾った大隣、来季の復活へ一歩一歩、歩みを進めている 【写真は共同】
「ほら、見てくださいよ」
ある日、シャツをめくって背中を見せてくれた。背中の中央に縦15センチほどの手術痕があった。
「まだ早期発見だった。だから、医者からは3カ月もすれば投げられるようになると言われています。秋のフェニックスリーグ(宮崎秋季教育リーグ)で1試合でもいいから投げたい。そうすれば、来季の復帰が見えてくると思うんです」
果たして10月、大隣は言葉通り実戦復帰を飾った。10月22日のロッテ戦、144日ぶりのマウンドだった。
「久々に足が震えました。投げられる喜び、楽しさを感じることができました」
1イニング限定。たった5球で打者3人を打ち取った。それでも、翌日には体中に張りを感じた。「力が入っていたんでしょうね」。この痛みこそ、ピッチャーとしての実感である。曇りのない笑顔を浮かべていた。
未来は描くことができる
「順調にしっかり投げることができました。走り込みも問題ない。ただ、前と同じ体かと言えば、そうではないと思います。直球のボールの回転や変化球の曲がり方、落ち方も多少変化していると思います。その中でいろいろ研究しているところです。オフの間も継続して、2月をしっかり迎えられたらいい」
11月22日、29歳の大隣はそう手応えを口にした。未来は、決めることはできないが、描くことはできる。大隣には復活への道しるべが見えているはずだ。
<了>