「ギリギリ競り勝つところを見てほしい」=UFCファイター水垣偉弥に聞く
「一流のアスリートが勝負しているのがUFC」
ことし3月に行われたUFC日本大会ではブライアン・キャラウェイに判定2−1で競り勝った 【t.SAKUMA】
格闘技っていうとどうしてもちょっとバイオレンスなイメージが伴うんですけど、そこだけじゃなく、他の競技やオリンピック種目にも負けないような一流のアスリートが集まって勝負している、その中の格闘技っていう部分を見てほしいです。もちろん興行なのでスポーツライクだけじゃない部分もありますけど、基本はそこありきのスポーツだと思っています。
――初めて水垣選手の試合を見るファンに、こういったところを見てほしいという、ご自身のセールスポイントをお願いします。
圧倒できればいいんですけど、僕の試合は結構接戦になることが多いので、今一番見てほしいのは、そこをギリギリ競り勝っていくところですかね。
――30歳を目前に控えていますが、節目の年を迎えるにあたり何か決意することはありますか?
今度の試合が20代最後の試合になるので、いい形で30代を迎えて、残り少ない格闘技人生を(笑)、いい格闘技人生にしたいなと思ってます。
――「残り少ない」という言葉がありましたが、何歳ぐらいまでやろうというのは考えたりするんですか?
若干考えてますけど、自分の戦績次第ですかね。ケガとかもあるので分からない部分もあると思うんですけど。
――以前インタビューの中で水垣選手は28歳から32歳ぐらいが総合格闘家は旬の年齢ではないかと答えていて、今がまさにその時期にあたります。
ボクシングとか限定されたスポーツだと若くて動体視力だったりが絶好調の若い子がいいのかもしれないですけど、MMAはいろいろやることがあって経験とかも大事になってくる部分があるので、肉体的なものと経験値を含めると、それぐらいの年齢が一番いいんじゃないかと思ってます。自分も確実に強くなっている感じがありますし、まだ全然衰えた感じもないので、今が格闘技人生の中でベストで、もう少し更新していきたいと思っています。
――経験の重要性もよくインタビューでお話しされていますね。
時差とか飛行機の移動だったり、言葉もあまり通じないところで試合をするっていうのは、それを30過ぎてからいきなりやれっていうのはキツいと思うんです。20代半ばや、若いうちからそういう経験をしていった方が慣れてくるのもありますし、そうすると30過ぎてもその感覚が掴めているので長くできるんじゃないかと思います。いきなり30過ぎてから勝負っていうのは、1つハンデになるかなと思います。
――では、そうやって早いうちから海外での経験を積めたことが、水垣選手が最近好調な理由の1つにあるのでしょうか。
そうですね、うまく実力を出せる感じになってきたところはあります。
「12.7の対戦相手ナム・ファンとは噛み合う」
試合も見たことがあったし元々知っていたんですけど、違う階級だったので戦うっていう認識は全然なかったです(※ナム・ファンがフェザー級からバンタム級に落としてきての対戦となる)。少し会って挨拶をしたことがあるぐらいなんですけど、なぜかツイッターはお互いにフォローし合っています(笑)。だからたまに試合をやると、「いい試合でしたね」みたいなのがローマ字で入ってくることはありました。でも、ちょっと挨拶した程度で、じっくり話したことはないです。
――ナム選手は水垣選手の練習仲間である小見川道大選手とも対戦したことがありますが、何かアドバイスをもらったりはしましたか?
力は強いですか? どうでしたか? みたいな感じでいろいろ聞いてアドバイスはもらいました。ただ結構前なんですよね(2009年5月に戦極でで対戦し、小見川が1RTKO勝ち)。
――試合が決まって対戦相手としてナム選手の映像を見直して、印象と違っていた点はありますか?
僕が思っていたのは基本が柔術でボクシングがちょっと上手いみたいな感じだったんですけど、思ったよりボクシングが上手そうだなっていう感じはあります。もっと柔術家っぽい感じなのかと思っていたんですけど、打撃も結構いけるなっていう感じで。でも、トータルで打撃をやったら絶対負けないと思いますし、細かい柔術の技術っていうのは向こうの方が上かもしれないですけど、MMAのグラップリングだったらテークダウンも含めて負けないと思っているので、全体的に見れば自分の方が1つ上の選手だなというのは思ってます。
――ファイト・オブ・ザ・ナイトも2回獲得していて好戦的な相手ですが、どういう試合になればいいと思いますか?
僕は好戦的な選手の方がやりやすい、噛み合うと思うので、頭の良さそうなところは注意しつつも、ファイト・オブ・ザ・ナイトが取れるような試合ができれば自分としては最高です。ほんとに今回は4連勝で20代と今年1年を締めくくって、30代、タイトル挑戦への足掛かりだなと思っています。
11月29日に後編を掲載予定