レベル低下も盛り上がるエールディビジ=オランダサッカーの明暗 第2回
リーグのレベルダウンは代表にも影響
レベルダウンが懸念されるオランダリーグだが、本命不在で混戦となり注目を集めている 【VI-Images via Getty Images】
リーグとしてレベルダウンしているということは、「試合の質が下がっている」という声が出るのも当然である。オランダ代表のコーチを務めるパトリック・クライファートは「いくつかの試合のレベルはあまりに酷い。このことは、やがてオランダ代表にとって深刻な問題になる。オランダ代表の選手のうち大体40%がオランダリーグの選手なんだ」と答えている。
「最近は、糸を引くようなロングパスが正確に渡るシーンが少なくなった。昔は1試合に6〜7本あったのが、今は1本程度だ」という声もある。僕もこれには同意する。ボスマン判決(1995年)によってオランダリーグから多くのスターが去った時ですら、各チームにはロングパスの名手がいて、鋭いサイドチェンジのパス1本で逆サイドのウインガーをフリーにしていた。オランダサッカーにとっては、これはひとつの芸術だったのだが、“ロングパス=雑”という概念のせいか、こうした技術に磨きをかける選手が少なくなった。
選手からは海外移籍を勧める声
アヤックスで5年過ごしてからレアル・マドリー(スペイン)、インテル(イタリア)、ガラタサライ(トルコ)とトップクラブを渡り歩いて来たウェズレイ・スナイデルは、エールディビジでプレーする若い選手に「いつまでもオランダに残ってはだめだ」と忠告する。
「僕のアヤックス時代はまだフィジカルが強く、経験も豊富な選手がいた。ヤン・ファン・ホルストは激しく来たから、僕も練習を全力で臨まないといけなかった。僕はこうして良くなっていった。例えばPSVのデパイなんて、代表からチームに戻ると18歳、19歳の選手と一緒に練習する。そうじゃなくて、やっぱり年長の選手とやらないと」と苦言を呈している。