至上命令、スウェーデンを撃破せよ!=ポルトガル代表のW杯プレーオフを占う
スウェーデンに対する苦手意識も
ポルトガルは直接対決でスウェーデンに対しやや分が悪い。ナニ(右)ら主力選手がクラブで出場機会が得られていないことも気がかりだ 【Getty Images】
先月、プレーオフの対戦相手がフランスではなく、スウェーデンと決まったとき、ポルトガル人の反応は微妙なものであった。最も避けたかった苦手フランスとの対決は免れた。その点では運に恵まれた。しかし、スウェーデンが相手というのも楽観的な気分にはしてくれない。対フランスほどではないが、けっこう苦手意識があるのだ。
歴史を振り返ると、これまで両国は15回対戦しているが、ポルトガルの勝利は3試合のみである。逆にスウェーデンは6勝を挙げており、残りの6試合は引き分けに終わっている。直近の対決と言えば、10年W杯予選では同組に入り、両チームは2試合とも0−0で引き分けている。
1955年11月に初めて対戦した時、ポルトガルは2−6という屈辱的な敗北を喫した。その後も長くスウェーデンには勝てず、初勝利は1986年W杯メキシコ大会の予選にあたる84年まで待たねばならなかった(1−0)。だが、以降は逆にポルトガル優位に進んでおり、両国の位置づけが逆転したとは言えないまでも、過去の対戦成績だけを見て悲観的なる必要はなさそうである。
イブラヒモビッチだけのチームではない
ポルトガル代表で気になるのは、レギュラー陣が所属リーグであまり試合に出ていないこと。C・ロナウドは別格だが、ナニはユナイテッドで先発の座を失っているし、ラウル・メイレレスも出場時間は多くない。左右両サイドバックのJ・ペレイラとコエントランもけががちで本調子とは言えない。予想先発イレブンのフィジカル・コンディションはスウェーデンの方が良いかもしれないのだ。
ベント監督は予選を振り返って、「我々は全試合にわたってコンペティティブであったわけではなかった」という反省の弁を述べた。指揮官もいくつかの試合で見られたチームの気の緩みを認めているのだ。だからこそ、プレーオフでは集中力を最高度まで高めることを選手たちに要求している。
スウェーデンは最後まで試合を捨てることのない、90分間をフルに戦うチームである。相手のエース、ズラタン・イブラヒモビッチ(パリサンジェルマン)を抑えれば何とかなると思ったら痛い目に遭う。技術的に勝るからと言って、決してポルトガル有利というわけではない。180分間を通してスウェーデンに優る集中力と気力を見せたとき初めて、ポルトガルは4回連続、6度目のW杯出場を決めることができるだろう。
<了>