これぞ高橋大輔、圧巻演技もまだ伸びしろ 別人の変化でSP首位=NHK杯男子

構成:スポーツナビ

織田信成、細かいエラーで得点伸びず

得点がもうひとつ伸びなかった織田。そのワケは…… 【坂本清】

 技術的な判定については厳しい結果になりました。最初の4回転−3回転は成功しているように見えて、回転不足の判定がついていました。見た目上はミス無く見えているハズですが、細かいミスが響きました。
 3回転ルッツの「e判定」(エラーエッジ)は予想していなかったのではないでしょうか。パッと見では完璧に見えますが、細かく見ていくと納得します。(得点については)自分が思っていた点より、差があったのではないかと思います。80点台後半を予想していたのではないでしょうか(実際は82.70点)。

 こういうとき(回転不足の判定があった時)に怖いのは、回転が足りなかった分(フリーで)より回ろうとする意識が強くなってしまうこと。それが、フリーへの力みになって、頑張る気持ちが強くなりすぎて、悪いほうにいってしまうことが怖いです。(自分の中で)微妙な判定があると、自分の自信が揺らいでしまう事があるんです。彼には、今日は今日として、フリーではいつもどおりの演技でいってほしいですね。
 彼の(ジャンプの)切れ目のないランディングは本当に美しく、ジャンプを下りたときに特にスピードが出ます。それが出来る選手は他にはなかなかいません。

 また、織田選手のスピンは本当に良いのですが、レベル4が出ていないのが気になります。高橋くんと同じようにここをきっちりと決めていくことで、スピンで点数を伸ばしていくこともできると思います。

無良崇人、ジャンプ加点出ずも楽しみなフリー

世界一高い!?見事なトリプルアクセルを跳んだ無良 【坂本清】

 無良くんは、最初のコンビネーションでは後ろのトリプルジャンプで乱れたものの、最初の4回転トゥループの着氷は成功させました。他のジャンプも、僕は無良くんのトリプルアクセルは世界一高いのではないかと思っているくらいです(笑)。ただ、織田くん、高橋くんに比べると、トリプルアクセル以外の2つのジャンプ(最初のコンビネーションと、3回転ルッツ)で加点がそれほど出ていませんね。世界と戦う上ではもう少し必要です。演技構成点もそれぞれの得点が7点台前半〜中盤。演技内容のわりには(合計の)点数が伸びなかったというわけではないです。

 無良くんは今大会からフリーを昨年のプログラムに戻しているので、それが(明日のフリーで)どう出るかですね。
 どうも(今季用に用意した)フリーにどうしても“ひっかかり”があったみたいなんです。一方で、去年のフリーは無良くんにすごく合っていました。ただやりきった感もあったようで、今季は新しいものをやりたかった。でも(演技では)心の乱れのわずかなところがどうしても関係してしまうんです。新フリーで臨んだスケートカナダでは、ああいう結果(最下位の10位。得点も188.53点)に終わってしまい、(プログラム変更に)踏み切ったようです。
“ひっかかり”があるとは言え、せっかく次のシーズンへ向けて新しいプログラムを作ったら、なかなか(前のプログラムに戻すことには)踏み切りにくいです。でもああいう結果が出たことで次に一歩踏み出せたのかも知れません。
 表彰台を狙える点数ではありますし、明日のフリーが楽しみですね。

<了>

中庭健介/Kensuke Nakaniwa

中庭健介さんがNHK杯男子を解説 【スポーツナビ】

1981年10月15日 福岡県福岡市生まれ。ダイナミック且つ繊細な演技で多くのファンを魅了した、日本フィギュアスケート界を代表する選手の一人。8歳からフィギュアスケートをはじめ、全日本選手権大会での入賞経験も多数(04年2位、02年、05年3位ほか)、GPシリーズなどの国際大会にも数多く出場し、29歳まで現役を続けた。2010−2011シーズンを最後に現役を引退。現在は地元福岡で選手育成に力を注いでいる。

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