馬主と厩舎、信頼が育んだ3世代目の女王=マンボ牝馬の頂点へ飯田祐史調教師の勝算
京都外回りの対策
“負けられなかった”秋華賞を見事に快勝、飯田祐師にとっても競馬に臨む過程の上で自信になったレースだった 【netkeiba.com】
「調教をしていて大変な部分は、今はほとんどないです。ゲートはもうクリアしていますし、今の状態を崩さないようにやって行けばという。追い切りはテーマを持ってやっているんですけど、“今日はこんな感じなので、こういう風に乗って下さい”っていう、それを幸四郎がやってくれるので。競馬に乗っていた者同士の会話が、上手く成り立っているかなって思います」
秋華賞を勝ち、次のステージは初の古馬との対戦となるエリザべス女王杯。きっちり仕上げての激走後なだけに、疲れはないのだろうか。
「目一杯走ったので、ローズSの後よりは疲れた感はあったんです。でも1週間以内で戻ったので、今は心配していないです。1週間くらいはプールで疲れを取ってっていう、いつものパターンでした。乗り出してからは、秋華賞前とあまり変わらないメニューに戻して行って、週末は15−15で乗って。1週前追い切りで幸四郎に乗ってもらって、順調という感じです」
エリザベス女王杯の舞台は、京都の2200m。内回りだった秋華賞から、外回りに変わる。
「外回りになって、直線が長いのは望むところなんですけど、秋華賞と違ってスローになる可能性がありますよね。秋華賞は小回りの2000mだからけっこう飛ばしてくれる馬もいるし、いなくてもある程度は流れるじゃないですか。でもエリ女は外回りだし、(今回は)どれがハナに行くのっていうメンバーだし。競馬になってみないとわからないですけど、スローになった場合のことを考えていた方がいいので」
スローになった場合を想定して、調教でも対策を練っている。
「1週前の追い切りは、調教であまり時計の出る馬じゃない仔をあえて前に置いて走らせました。ゆっくりのペースで入って、スローの練習と思って乗ってという指示。この秋で一番折り合いがついた追い切りでしたね」
厩舎側の気持ちのコントロール
さあ古馬との初対決、飯田祐師の勝算は? 【netkeiba.com】
「強い強いって言われていても、古馬とやったら歯が立たなかったという過去の歴史がありますから、3歳代表として、ここで惨敗するとマンボだけじゃなくて今年の“3歳ってどうなの”っていう責任もあるので。無様な競馬は出来ないし、そういう競馬にならない状態であると思います。秋華賞に挑む時より気持ち的には楽というか。もちろん真剣なんですけど、種類が違うかなと。今はチャレンジャーとしての気持ちです」
テーマを持って追い切りを重ね、ここまでは順調に調整が進められてきた。残るは直前の微調整。精神面と肉体面のバランス、特にメンタル面は大切なポイントだ。
「今回もスタンド前スタートだから余計ですよね。ローズSの時は向こう正面奥からのスタートだったんです。でも秋華賞はスタンド前スタートだったし、自分がGI馬だから返し馬で出て行ったら歓声も上がる。その辺を色々考えて、もうちょっとやりたいけど、ちょっと待とうかっていうくらいで行ったんです。もうちょっとって思ったんですけど、そのもうちょっとをやったことで、出遅れましたとか引っ掛かっちゃったとか。そうしたら何にもならないので、ちょっと手前の仕上げというか。まぁ、こっちの気持ちの問題なんですけどね」
プレッシャーと戦いながらの秋華賞を制したことで大きな経験を積み、そこから自信も生まれたという。
「秋華賞は絶対に勝たなきゃいけないって思っていましたから。勝たなきゃいけないけど、よく競馬でジョッキーが早仕掛けをしたら怒られるじゃないですか。だから、ジョッキーよりも早仕掛けになったらいけないなっていうね、厩舎が(笑)。ジョッキーは競馬で落ち着いて乗ってくれるのに、競馬に行く前に厩舎側が早仕掛けをしたらいけないなって思いました。気持ちを抑えて抑えて。ずっと前から、こういうのは厩舎側にとって大事なことだなって思っていたので。それが出来たことは、自信になりますね」
秋華賞で見事二冠を達成し、その実力を証明したメイショウマンボ。順調に調整を進めて、今度は3歳代表として古馬に挑む!
<文中敬称略・了>