市民ランナー・川内優輝、NYでの評価は!?=米国人からも寄せられた応援の声
ニューヨークシティマラソンに出場した川内(左)は、アテネ五輪銀のケフレジギとの交流を楽しんだ 【及川彩子】
「WMMのシカゴマラソン(10月)で日本人選手最上位は佐野広明選手(Honda)の7位だったので、それを上回る6位以内に入りたい」と意欲を見せていたが、22キロ以降の急激なペースアップについていけず、優勝したジョフリー・ムタイ(ケニア)から4分3秒遅れの2時間12分29秒で11位と、ほろ苦いレースとなった。
日本で『市民ランナーの星』と称される川内は、ニューヨークでも大会前から注目を集め、試合2日前の記者会見では、多くの記者が質問を寄せた。ここでは、現地メディアや陸上関係者の反応、外国人選手との交流で川内が見せた素顔などを紹介したい。
NYでも注目 レース数の多さに驚きの声も
さらに、ベルソン記者は、川内が中本健太郎(安川電機)に触れたあるコメントを取り上げた。中本は、ロンドン五輪と世界選手権モスクワ大会で、今大会にも出場したメブ・ケフレジギ(米国)とツェガエ・ケベデ(エチオピア)にそれぞれ敗れている。日本在住の経験もあるベルソン記者は、「『中本さんのために、ケフレジギとケベデに先着したい』と話したのも印象的だった。日本人としてのプライドを感じた」と川内を褒めた。
しかし陸上記者からは「どうしてそんなに多くのレースに出るのか?」「もっとレースを絞って、狙いを定めていった方が良いのでは?」などという批判的なコメントもちらほらと出た。
出場料の授受に関する指摘もあった。米国で陸上の動画サイトなどを運営するウェルドン・ジョンソン氏は「ユウキが出場料を受け取れないのは不公平だ。今大会では『市民ランナー』のユウキがレース前の顔だったじゃないか。公務員の職務規程で本人が受け取ってはいけないのなら、埼玉県が受け取って、ユウキ名義でスポーツをしている子供のために寄付して有効に使うなど、検討してもいいんじゃないかな」と米国人らしい意見を述べた。
一方、選手から上がったのは、出場レース数の多さに対する驚きの声だ。シカゴマラソンでペースメーカーを務めたアリスター・クラッグ(アイルランド)は、「ユウキは3週間前にマラソン走ったのに、ニューヨークも走って、福岡国際マラソン(12月)も出るんだよね。レースの多さにびっくりだよ。俺は今回は出ないけど、福岡に出るからよろしくね」と苦笑い。
また、11年テグ、13年モスクワ世界選手権の女子マラソンで優勝したエドナ・キプラガト(ケニア)も、川内のレース本数の多さに、「1年間にマラソン11本? 冗談でしょ?」と目を白黒させ、「どうやってそんな数のレースを走っているんだろう。すごすぎる」と感嘆の声を上げた。