市民ランナー・川内優輝、NYでの評価は!?=米国人からも寄せられた応援の声
五輪メダリストも“ユウキスタイル”に理解
結果は11位と振るわなかった川内だが、次回は米国人の応援に応える好結果を期待したい 【Getty Images】
仕事との両立に対しても、「僕も大学卒業後は、オリンピックセンターでパートタイムで働きながら練習をしていた。フルタイムで陸上をするのは素晴らしいことだけど、同時に24時間、陸上のことを考えるのは良くないし、ケガした時には空虚感に陥る。だから、仕事と練習でメリハリをつけて両立できるなら、そのユウキスタイルを崩さない方がいいかもね」と、自身の経験を踏まえてアドバイスする。
日本では、練習スタイルに対して共感を得ているものの、時に厳しい声を受けることもあるからか、川内はうれしそうな表情を見せた。
「以前から、自分のスタイルには自信を持っていましたが、実績のあるベテラン選手からそういう言葉をもらって、もっと自信を持てました。海外のトップ選手とそういう話ができたことも、今回の大きな経験になりました」と笑顔が弾けた。
さらに、川内はケフレジギにどのような練習を行っているのかなどを積極的に質問し、どん欲な姿勢を見せた。「僕は2時間7分台をなかなか出せない。どうしたらいいですか?」と川内が尋ねると、「ユウキは2時間8分台で何回も走っているの? 僕の自己ベストは2時間9分8秒。何回か8分台を狙ったのに出せていないんだよね。ユウキ、1つ貸してくれ」と冗談まじりにお願いをされる場面も。しかし、「世界大会やニューヨークでは自己ベストが2時間9分台でも結果を残せるんだ」というケフレジギの言葉には、川内も大きくうなずいていた。
そのケフレジギは、9月に故障した影響で、今大会では後半に立ち止まるなど悔しいレースになった。ただ、「ケガが治ったら、日本でユウキと対決したい」と、川内の存在は大きな刺激となったようだ。
SNSで飛び交った「カワウチ頑張れ」の声
結果は11位と目標達成はできなかった川内だが、トップ選手の走りや駆け引きを体感したほか、練習スタイルなどの話を交わすことができ、有意義な時間を過ごすことができたようだ。
もちろん、今後の課題も見えた。「急激なスピードアップに対応できる力をつけたい。そのための足を作るには、トレイルラン(山や自然公園など未舗装路を走るもの)が有効だと思う」と、ステップアップの鍵を口にした。
大会前からメディアに取り上げられていたため、ツイッターなどのソーシャルメディアでは、「ユウキ・カワウチ頑張れ」「公務員ランナーのカワウチを応援しよう」というコメントが多く飛び交った。
米国の市民ランナーにも大きなインパクトを与えた川内。次回はその期待に応える結果を出したい。
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