元陸上エリートが目指す“最速芸人”の座=げんき〜ず・宇野けんたろうインタビュー

構成:スポーツナビ

「忙しいって本当に言い訳だと思う」

勝ちたいという強い思いが、マラソンへのモチベーションになっているという宇野さん。写真は2012年東京マラソンのもの 【坂本清】

――現在の練習方法は?

 ほとんど毎日走っています。コーチがついてるのですが、ほとんど自己流に近いです。もらったメニューを自分で変えていく感じで、川内(優輝=埼玉県庁)選手と一緒ですね。一人でやるのが良いんですよ。マラソンって、苦しいのに誰も助けてくれない。誰かと一緒に走るのもすごく楽しくて良いことなのですが、勝つのは一人なので。

――芸人のお仕事はかなり不規則だと思いますが、練習時間はどのように確保しているのでしょうか?

 まず、朝練は必ずやります。ロケがある時は朝4時とか、5時くらいに起きて、走ってからロケに行く。夕方に帰ってきてちょっとだけ休んだら、皇居に行ってポイント練習(強度の高いトレーニング)をやるという流れですね。
 朝はジョッグ(ゆっくり走ること)で6キロ走るのですが、(1キロ)4分30秒くらいでばーっと走ります。ポイント練習で時間がある時は、競技場に行ってトラックでスピード練習をしています。皇居とか競技場は人が多いから、モチベーションが上がるんですよ。「この人、速いな」「良い動きをしているな」とか考えながら見ています。「宇野さん、頑張ってください」って話しかけられることもあって、すごく力になりますね。

――逆に夜中に走らないといけない時もあると思いますが、通勤ラン(練習を兼ねて走って通勤すること)をされることは?

 僕は絶対やらないですね。こんなこと言ったら一生懸命働いている人に失礼かもしれませんが、忙しいって本当に言い訳だと思うんです。どんな時でも練習をして、その練習ができなかったら次の日に繰り越したりとか。その日がダメだったらまた繰り越すという形でやっていけば、絶対に時間はある。現に川内選手なんてすごいじゃないですか。やっぱり、時間は見つければあるものだとすごく思うので。
 僕の場合は、例えば、劇場には小道具がたくさん置いてあって、重いのもいっぱいあるので、走れない時は、空き時間にそういう物を担いでスクワットとかしてます。走る時は時間見つけて走る感じです。

――時間をうまくやりくりして練習しているのですね。

 サボったら絶対に負けます。芸人はたくさんいて、特に吉本なんて巨大な会社なので、その中で戦っていくには、甘ったれたことを言っていたら絶対に無理。だから、辛いですけど、やることはやりたいなと思って。結局、結果が出なかったら悔しいのは自分ですから。

芸人ゆえになめられることも……

――お仕事で夜遅い時の食事はどうされているのですか?

 間食をするようにしています。間食も、お菓子じゃなくて、あんパンやおにぎりですね。(DeNA総監督の)瀬古利彦さんはケーキをばんばん食べていたみたいですが、あの人はもう別人ですからね。超人です。でも、僕みたいな市民ランナーは、ケーキとか食べ過ぎると太っちゃう。

――体のケアはどうされていますか?

 マッサージには定期的に行くようにしています。後は全部セルフケア。銭湯に行って交代浴(水とお湯に交互につかること)をやったり、足が痛いと思ったら治療院に行ったり。やっぱり、ケアができないと強くなれないですよ。

――ご自身では、芸人ながらもここまで速くなれた理由は何だと思いますか?

 売れない自分が悔しいんです、本当に。吉本の中では「スポーツ芸人」のくくりに入っているので、そのキャラで押し通すしかないって。こんなにたくさんの芸人がいる中で、キャラのない芸人なんて何千といるのだから、そこは突き抜けるくらい頑張った方が良いというのはあります。

――勝ちに対するこだわりはありますか?

 ありますね。お笑い芸人だと、なめられるんですよ。「芸人だから大したことないだろう」とか「芸で芽が出ないから走ってるんだろ?」とか、キツイことも言われます。でも、それはちょっと違うなと思って。ただ単に、勝ちたいという思いがモチベーションになっているのかなと思います。

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