ブアカーオが佐藤嘉洋にムエタイで完勝=タイで人気のイベントが日本上陸

長谷川亮

08年KO負けのリベンジに臨んだブアカーオ

ブアカーオがムエタイルールで佐藤嘉洋に判定勝利。08年にKO負けを喫したリベンジに成功した 【長谷川亮】

 タイで人気を誇るビッグイベント「MAX MUAYTHAI(マックス・ムエタイ)」が6日、日本初上陸を果たし、宮城県のゼビオアリーナ仙台で行われた。

 マックス・ムエタイは通常の5Rとは異なり3分3R制を採用し、ブアカーオ・パンチャメーク(ポー.プラムック)をはじめとした世界の強豪がアグレッシブな戦いを繰り広げる大会。今大会は仙台市の全面バックアップを受け東日本大震災の復興支援イベントとして開催され、タイへの衛星生中継も行われる中、メーンでブアカーオと佐藤嘉洋が4度目の対決を行った。

 ブアカーオと佐藤はこれまで3回戦いブアカーオの2勝1敗であるが、最後の対戦となった2008年7月の試合では佐藤が3RKO勝ち。242戦209勝21敗12分という戦績のブアカーオだが、KO負けはこの1回だけで、今回はその雪辱に闘志を燃やし試合に挑んだ。

ブアカーオにとって本領発揮のムエタイルール

 ヒジ・ヒザが解禁されブアカーオにとっては本領発揮となるムエタイルールだが、佐藤も首相撲を絶対の武器とするため試合は接戦が予想されたが、いざ始まってみると1Rからブアカーオがムエタイ式の崩し・足払いを多用し、佐藤を何度もマットに投げつけていく。佐藤が組みからのヒザを狙っても、ブアカーオがすぐ投げてしまうため組み合いとはならない。

 2R以降も依然ブアカーオは佐藤をマットに投げ、離れれば左右のミドルを打ち込んで圧倒。佐藤がパンチで出てヒットを上げる場面もあったが、ブアカーオはすぐに組んでマットへ投げ、佐藤は攻めを分断される。ブアカーオが幾度も佐藤を投げる場面と、左右のミドルが大きな音と強い印象を残して試合は終わり、判定は3−0でブアカーオ。31歳となったブアカーオだが変わらぬ強さで日本のファンに健在ぶりを示した。

佐藤「ムエタイの壁を感じた」

 以下は試合後の佐藤のコメント。
「今日は当然のように勝って、タイで完全なブアカーオとやるつもりだったんですけど……。最後まで諦めず全力を尽くした結果完敗だったので、ムエタイの壁すごく感じました。悔しいです。プランは最初にジャブを突いて、スタミナには難があると思ったのでヒザとボディで攻めるのを考えていました。1R目はボディがうまく当たっていて、2R目以降は対策を変えてくるのは分かっていたんですけど、うまく吸収されました。崩しの技術は一生掛かっても越えられない壁を感じさせられました。もし今後もムエタイに挑戦するのであれば、それに違う作戦をもっと考えて、自分も崩しの技術をある程度身につけないといけないと思いました。首相撲が一番うまかったかもしれないです」

メーンの森井はKO、HIROYAは判定で勝利

ミドルを有効に使ったHIROYAがサパーンペット・シットイティスカトーに判定勝利を挙げた 【長谷川亮】

 また、この日は大会終盤に登場したHIROYA、森井洋介の日本勢が揃って勝利。HIROYAはジャブと右ローを主軸に、蹴り合い、ヒザ合戦を互角に展開し、その上でボディストレート、左ボディと打ち込み判定勝利。森井は1Rから相手をロープに詰めてパンチとローで猛攻し、2Rに左フックをズバリと決めてノックアウト。どちらもムエタイ戦士を降した。

 その他、大会の全試合結果は以下の通り。

■「MAX MUAYTHAI WORLD CHAMPION 2013 JAPAN」
10月6日(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台

<第8試合 58kg契約 3分3R>
○森井洋介(藤原ジム/元WPMF日本フェザー級王者)
(2R KO)
●ムンファン・ポー.ポンサワン (タイ/元ラジャダムナン・フライ級王者)

<第7試合 65kg契約 3分3R>
○HIROYA(TRY HARD GYM)
(判定3−0)
●サパーンペット・シットイティスカトー(タイ)
※三者29−28

<第6試合 メインイベント 4 Manトーナメント 決勝 67kg契約 3分3R(延長1R)>
○ジンリートーン・シートラーンフェリー(タイ)
(判定3−0)
●ディラン・サルバドール(フランス)
※三者30−28
※ジンリートーンが優勝

<第5試合 70kg契約 3分3R>
○ブアカーオ・バンチャメーク(タイ/K−1 WORLD MAX 2004・2006優勝)
(判定3−0)
●佐藤嘉洋(名古屋JKファクトリー/K−1 WORLD MAX 2010準優勝
※30−27、30−28、30−28

<第4試合 72kg契約 3分3R>
○エークプラチャー・ミナヨティン(タイ/元ルンピニー・ウェルター級王者)
(判定3−0)
●牧野智昭(フォルティス渋谷/元WBKF世界スーパーウェルター級王者)
※30−26、29−26、30−26
※牧野は1Rにパンチで2度のダウンあり

<第3試合 女子60kg契約 2分3R>
○未奈(秀晃道場/SB日本女子バンタム級5位)
(判定3−0)
●プーラッホン・シットヂャーデーン(タイ)
※三者29−28

<第2試合 4 Manトーナメント 一回戦 67kg契約 3分3R(延長1R)>
○ディラン・サルバドール(フランス)
(判定3−0)
●大和侑也(大和ジム/WBCムエタイ日本&NJKFウェルター級王者)
※30−28、30−28、29−28

<第1試合 4 Manトーナメント 一回戦 67kg契約 3分3R(延長1R)>
○ジンリートーン・シートラーンフェリー(タイ)
(判定3−0)
●アレッサンドロ・カンパーニャ(イタリア)
※30−27、30−28、30−28
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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