岩隈久志が誇るメジャー屈指の数字とは?

スポーツカルチャー研究所

リーグトップの数値を誇る「燃費の良さ」

 ア・リーグ西地区4位に低迷するマリナーズは、白熱するプレーオフ進出争いからすでに蚊帳の外。それでも岩隈にとって今季は、初めてメジャーのローテーションを守り切るばかりか、サイ・ヤング賞候補に名前が挙がるほどの大活躍で充実のシーズンとなっている。

 9月18日(日本時間19日)時点での成績は、防御率2.76(リーグ3位)、211回2/3イニング(リーグ2位)、被打率.222(リーグ3位)、WHIP(1イニングあたりに出すランナーの数)1.02(リーグ2位)。「勝った負けた以外のピッチングの質」そのものが問われるメジャーの各カテゴリーで、軒並みトップ3にランクインしている。

 中でも素晴らしいのは、リーグトップのジェームズ・シールズ(カンザスシティ・ロイヤルズ)にわずか2イニング足りない投球回数だ。180日で162試合を戦い抜くメジャーリーグでは、シーズンを通して長いイニングを投げることができる“イニング・イーター”が、チームの柱として大きく評価される。

 岩隈がこれだけイニングを稼げる秘密は、 圧倒的な「燃費の良さ」にある。今季、岩隈が1イニングあたりに投じる投球数は14.18球で、これはリーグ1位の少なさ。「テンポが良い」と称される岩隈のピッチングは、投球間隔の短いテンポに加え、球数の少なさが如実に数字に表れている。

 その結果、今季の通算投球数は3001球で、これはリーグ30位の球数に過ぎない。リーグ首位に肉薄するトップクラスのイニング数を投げていながらも、決して肩を酷使しているわけではないのだ。

コストパフォーマンス抜群 成功を証明する成績

 抜群の燃費の良さを発揮している今季の岩隈について、もうひとつ特筆すべきはコストパフォーマンスの高さだろう。

 大手スポーツメディア『CBS SPORTS』電子版のジョン・ヘイマン記者は13日(同14日)、昨オフにフリーエージェントとなった選手の“コストパフォーマンス”を格付けするランキングを掲載した。その中で、トップクラスのスターターとしては格安といえる2年1400万ドル(約14億円)で契約した岩隈は、堂々の6位にランクイン。チームの再建が理想通りには進んでいないマリナーズにおいて、岩隈との契約は大成功だったと言及されている。

 燃費性能に優れた高性能のエコカーのようでありながら、価格もお手頃でコストパフォーマンス抜群。今季の岩隈が見せてきたピッチングは、まさにそんな表現がピッタリではないだろうか。

<了>

(スポーツカルチャー研究所 内野宗治)

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