バレンティン「みんなと作った記録」=56、57号HR達成 試合後コメント全文
阪神戦の1回にプロ野球新記録の56号本塁打を放ち、ボードを掲げるバレンティン 【写真は共同】
初回の第1打席、1死二塁の場面で打席に入ると、カウント2ボール、1ストライクから先発・榎田大樹の真ん中に入ったストレートを左中間スタンドに運び、4試合ぶりの本塁打で快挙を達成した。3回は、3ボールからの4球目の内角のスライダーを思いっきり引っ張りレフトポール際に持っていった。
これまでのプロ野球シーズン最多本塁打記録は、1964年の王貞治(巨人)、2001年のタフィ・ローズ(近鉄)、2002年のアレックス・カブレラ(西武)が持っていた55本塁打。バレンティンは11日の広島戦で大竹寛から55号本塁打を放ち、シーズン最多記録に並んだ。記録更新の期待が掛かった12日の広島戦は3打数1安打1四球、13日の阪神戦は4打数無安打で、阪神のルーキー藤浪晋太郎が先発した14日の試合は3打数1安打1四球に終わり、3試合連続ノーアーチと快挙達成を持ち越されていた。
ヤクルトは今季、まだ18試合を残しており、さらなる記録更新、そして「60号」への期待も高まる。
なお、試合はヤクルトが9対0で阪神に勝利し2連勝。ルーキーの小川泰弘が6安打完封でリーグトップタイの14勝目を挙げた。
以下は試合後のバレンティンのコメント。
王氏の記録破り「この上なく光栄」
「正直、ホッとしている。スローモーションのように時間が過ぎた。49年ぶりに日本記録を塗り替えることができて、うれしい以外の気持ちが見つからないよ」
――本拠地の神宮球場で決めました。
「来日してからずっと相性が良くて、今年も節目、節目で打てていたので、この6連戦が始まる前には何とか神宮球場で3本を打って、新記録を作りたいというのがモチベーションになっていた。やってやろうという気持ちがあったし、何よりスワローズのファンが見守る中で新しい歴史を作れたのが、本当に嬉しい」
――王貞治氏の記録を抜いたことについては?
「王さんは本塁打の世界記録を持つ、尊敬できる偉大なホームランバッターで、その人の持っていた記録に並んで、抜くことができたのは、この上なく光栄なことです」
――1打席目を振り返ってもらえますか?
「ここ何日か、バッティングが大きいの狙いになっていて、ランナーをホームにかえすこともできていなかったので、あの場面ではランナーをかえすことだけを心掛けて打席に立った。結果としてホームランになってくれて本当に感謝しているよ。打った瞬間は、言い表せないような気持ちだったね。試合が始まってすぐに全身が汗だくになっていたんだけど、あの瞬間に汗がすべてひいて、鳥肌が立つような感覚を覚えたよ。これまでの自分の打席の中で最高の感触だった」
――入った瞬間はどういう気持ちでしたか?
「特別な瞬間だった。応援するチームが先制されるという状況にもかかわらず、阪神ファンも喜んで祝福をしてくれた。これは本当にうれしかった」
母へ「ここまで育ててくれたことに感謝」
「打った瞬間に探したんだけど、母親は背が小さく、周りの観客も立って喜んでいたので、見つけることはできなかったんだけど、ホームベースに戻って来たときに見つけることができて、母親の表情を見たら喜んでいてくれたので、最高の気分だったよ」
――家を出る前に母親からは言葉をかけられたんですか?
「神のご加護がありますように。今日は大丈夫よ、と言われた。母親は今日、出身地のキュラソーの旗の色(青と黄色)の服を来て応援してくれていたので、それもあったから打てたのかもしれない」
――お母さんへのメッセージはありますか?
「ここまで育ててくれたことに感謝しています。神のご加護があって打つことができて、特別な瞬間に母親を立ち会わせることができたし、母にとっても自分の目の前で息子が打つのを見られたので、これはもう本当に幸せなことだと思う」