バレンティン「みんなと作った記録」=56、57号HR達成 試合後コメント全文

ベースボール・タイムズ

阪神戦の1回にプロ野球新記録の56号本塁打を放ち、ボードを掲げるバレンティン 【写真は共同】

 東京ヤクルトのウラディミール・バレンティンは15日、神宮球場で行われた阪神戦で榎田大樹からプロ野球シーズン最多本塁打の新記録となる56号を放った。さらに3回には2打席連続本塁打も放ち、一挙に記録を57本に更新した。

 初回の第1打席、1死二塁の場面で打席に入ると、カウント2ボール、1ストライクから先発・榎田大樹の真ん中に入ったストレートを左中間スタンドに運び、4試合ぶりの本塁打で快挙を達成した。3回は、3ボールからの4球目の内角のスライダーを思いっきり引っ張りレフトポール際に持っていった。

 これまでのプロ野球シーズン最多本塁打記録は、1964年の王貞治(巨人)、2001年のタフィ・ローズ(近鉄)、2002年のアレックス・カブレラ(西武)が持っていた55本塁打。バレンティンは11日の広島戦で大竹寛から55号本塁打を放ち、シーズン最多記録に並んだ。記録更新の期待が掛かった12日の広島戦は3打数1安打1四球、13日の阪神戦は4打数無安打で、阪神のルーキー藤浪晋太郎が先発した14日の試合は3打数1安打1四球に終わり、3試合連続ノーアーチと快挙達成を持ち越されていた。

 ヤクルトは今季、まだ18試合を残しており、さらなる記録更新、そして「60号」への期待も高まる。

 なお、試合はヤクルトが9対0で阪神に勝利し2連勝。ルーキーの小川泰弘が6安打完封でリーグトップタイの14勝目を挙げた。

 以下は試合後のバレンティンのコメント。

王氏の記録破り「この上なく光栄」

――56号、57号を放ってプロ野球新記録を樹立した今の気持ちを教えてください。

「正直、ホッとしている。スローモーションのように時間が過ぎた。49年ぶりに日本記録を塗り替えることができて、うれしい以外の気持ちが見つからないよ」

――本拠地の神宮球場で決めました。

「来日してからずっと相性が良くて、今年も節目、節目で打てていたので、この6連戦が始まる前には何とか神宮球場で3本を打って、新記録を作りたいというのがモチベーションになっていた。やってやろうという気持ちがあったし、何よりスワローズのファンが見守る中で新しい歴史を作れたのが、本当に嬉しい」

――王貞治氏の記録を抜いたことについては?

「王さんは本塁打の世界記録を持つ、尊敬できる偉大なホームランバッターで、その人の持っていた記録に並んで、抜くことができたのは、この上なく光栄なことです」

――1打席目を振り返ってもらえますか?

「ここ何日か、バッティングが大きいの狙いになっていて、ランナーをホームにかえすこともできていなかったので、あの場面ではランナーをかえすことだけを心掛けて打席に立った。結果としてホームランになってくれて本当に感謝しているよ。打った瞬間は、言い表せないような気持ちだったね。試合が始まってすぐに全身が汗だくになっていたんだけど、あの瞬間に汗がすべてひいて、鳥肌が立つような感覚を覚えたよ。これまでの自分の打席の中で最高の感触だった」

――入った瞬間はどういう気持ちでしたか?

「特別な瞬間だった。応援するチームが先制されるという状況にもかかわらず、阪神ファンも喜んで祝福をしてくれた。これは本当にうれしかった」

母へ「ここまで育ててくれたことに感謝」

――56号を打った瞬間、バレンティン選手の母親も大喜びしていましたよ。

「打った瞬間に探したんだけど、母親は背が小さく、周りの観客も立って喜んでいたので、見つけることはできなかったんだけど、ホームベースに戻って来たときに見つけることができて、母親の表情を見たら喜んでいてくれたので、最高の気分だったよ」

――家を出る前に母親からは言葉をかけられたんですか?

「神のご加護がありますように。今日は大丈夫よ、と言われた。母親は今日、出身地のキュラソーの旗の色(青と黄色)の服を来て応援してくれていたので、それもあったから打てたのかもしれない」

――お母さんへのメッセージはありますか?

「ここまで育ててくれたことに感謝しています。神のご加護があって打つことができて、特別な瞬間に母親を立ち会わせることができたし、母にとっても自分の目の前で息子が打つのを見られたので、これはもう本当に幸せなことだと思う」

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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