バレンティン「みんなと作った記録」=56、57号HR達成 試合後コメント全文

ベースボール・タイムズ

三冠王「狙えるチャンスがあるのはうれしい」

榎田のストレートを左中間スタンドに運んだバレンティン。さらに3回には2打席連続となる57号も放った 【写真は共同】

――ここ3試合は足踏みがありました。プレッシャーも相当大きいものでしたが、どうモチベーションを保ったのでしょうか?

「55本を打った後から報道陣の数がすごくて。もちろん、報道する彼らの状況は分かったけど、僕自身は遅かれ早かれ、やがて56号は出るだろうという感じで、いろいろなことを考えずにリラックスしていたのが、モチベーションを保てた秘訣かな」

――今日、56号に続き、57号を打ちました。何本を目指しますか?

「自分では目標はないよ。勝利のためにプレーしているだけだし、野球は1人ではできないし、残り8人の協力がなければ成り立たないからね。1打席1打席をシーズン最後の打席というような覚悟で臨んでいけば、最後には数字が出ているんだと思うよ」

――三冠王の可能性も残っています。

「この時期だし、状況として考えないことは難しい。打点は5、6点差だから、三冠王を狙えるチャンスがあるのはうれしい。でも、これまでの自分の打撃を振り返ると、力むと数字が落ちていくのは分かっている。高い集中力をもって臨んでいって、シーズンの最後に最高の結果が出ているといいね」

――改めてファンやチームメートへのメッセージを。

「すべての応援してくれた人々に感謝したい。まず、チームメート。彼らのサポートがあったからこそ達成できた。良いときも悪いときもみんなが協力してくれた。次に、監督やコーチ、球団に感謝したい。日本で野球をやる機会を作ってくれた奥村次長には、本当に感謝している。そして、選手の後ろに立ってバックアップしてくれるスワローズファンのみんなにも感謝している。ファンのみんなを、僕は家族だと思っているよ。みんなが応援して協力してくれたから、記録を達成できた。これはみんなと一緒に作った記録だよ」

「記録は破られるもの。破る選手が出て来て」

――バレンティン選手のスイングでフォロースルーがきれいだと評価する評論家が多いのですが、ご自身ではどう思いますか?

「考えたこともないし、練習したこともないよ。スイングした自然の流れの中でやっていることなんでね」

――過去の55本塁打記録の時には投手が勝負を避けましたが、今回はどの投手も勝負をしました。そのことについては?

「過去の2名(ローズとカブレラ)が四球で勝負を避けられたのは、自分の目で見たわけじゃないから何とも言えないけど、今回は勝負してもらえたのは、新しい時代がきたのかなと感じているよ。ファンも望んでくれたから機会ができて、そうした中で記録を更新できた。ただ、僕自身は記録は破られるものだと思っている。また来年以降、このホームラン記録を破る選手が出て来てくれることが、プロ野球が盛り上がっていくことだからね」

――今日は多くの感激した瞬間があったと思いますが、その中で一番は?

「ホームランを打って、試合後にママがグラウンドに降りて来て、うれしそうでいて、それでいて今にも泣き出しそうな表情をしているのを見たときだね。今までにそんな表情はみたことなかったから、一番うれしかったよ」

――スタンドにはバレンティン選手の顔がプリントされた団扇を持った観客がつめかけていました。

「いままで味わったことのない応援を受け、本当に幸せだなって感じているんだ」

――MVPの可能性もあります。

「MVPに名前が挙がるのはうれしいね。チームは苦しいシーズンを送っているけれど、自分としては毎朝起きるたびに、チームのために何ができるのかを考えているんだ。残り試合は少ないけど、チームのために自分のできることを一生懸命やって、可能性としてはとても低いけれど、クライマックスシリーズを目指してベストを尽くそうと思っているよ」

――56本目と57本目での気持ちの違いはありましたか?

「56本を打った後はホッとして力が抜けたよ。57本目は白紙の状態で新しいシーズンを迎えたような状態。そんな違いが気持ち的にはあったよ」

<了>

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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