オルフェ連覇へ キズナ仏初戦で強敵と激突=合田直弘の凱旋門賞 前哨戦展望

JRA-VAN

最低でも昨年並みのパフォーマンスを

フォア賞に臨むオルフェーヴルとスミヨン、凱旋門賞へ向けここは実力を見せつけたい 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 昨年同様、ここが凱旋門賞へ向けた前哨戦となるのがオルフェーヴル(牡5、父ステイゴールド)だ。

 思い返せば昨年は、ここがロンシャン初体験で、C.スミヨン騎手も初騎乗という不安があったが、ロンシャンもスミヨンとのコンビもこのレースで3戦目となる。昨年は帯同馬アヴェンティーノを頼り切りだった印象のある同馬だが、今年はパドックから堂々と周回してくれるだろうし、内包する難しさも含めて、スミヨン騎手もこの馬を手の内に入れたはずだ。

 また、昨年は宝塚記念以来となる3カ月弱の休み明けだったのに対し、今年は大阪杯以来5カ月半振りの出走と、昨年以上に長い休み明けとなるが、その分だけ馬がフレッシュで、宝塚記念前の一頓挫が結果としては奏功しそうな気がしている。帯同馬に蹴られるという直前のアクシデントも大事には至らず、最低でも昨年並みのパフォーマンスはしてくれると見る。

 相手馬で能力最上位は、昨年、G1・2000ギニー(芝8F)、G1英ダービー(芝12F10y)、G1愛ダービー(芝12F)と3つの3歳クラシックを制したキャメロット(牡4、父モンジュー)だ。ただし、目下のところ連敗中で、ことに4着に敗れた前走G1プリンスオブウェールズS(芝10F)の内容は芳しくなかった。3カ月の休みをとり、立て直しを図っての出走となるが、果して強かった頃のキャメロットに戻っているかどうか。本来の姿を取り戻していたら、ここだけではなく本番でも厄介な敵になる。

 実績3番手は、仏国調教馬ながら欧州以外で3つのG1を制しているデュナデン(牡7、父ニコバー)だ。勝ち味に遅いところがあるが、凡走も少なく、たいていは持っている力通りの競馬をする馬である。

 昨年のこのレースの3着馬ジョシュアツリー(牡6、父モンジュー)が、今年も入着候補。春のG1ドバイシーマクラシック(芝2400m)3着馬ベリーナイスネーム(牡4、父ウィパー)、同じく春のG1イスパーン賞(芝1850m)3着馬マンドール(牡4、父スマートストライク)らも、ベストのパフォーマンスをすれば入着はありそうだ。

フリントシャー、英ダービー馬ほか凱旋門有力候補

武豊とともにフランス初戦に挑むキズナ、凱旋門賞を視野に入れるためにも3着以内は欲しいところだが…… 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 ブックメーカーの半数以上が凱旋門賞前売り1番人気(オッズ5〜6倍)に推しているフリントシャー(牡3、父ダンシリ)と、日本から遠征しているキズナ(牡3、父ディープインパクト)が、本番を前にしてここで顔を合わせる。

 キズナは現在13〜17倍のオッズで7〜9番人気と、ファンの支持という点でかなりの差があるが、現段階で2頭が置かれた立場は対等と見ている。

 7月13日に凱旋門賞と同コース、同距離で行われたG1パリ大賞典(芝2400m)を快勝したことで、一気に評価が高まったフリントシャー。このレースで繰り出した強烈な末脚は確かに魅力的で、有望な3歳馬であることは間違いないが、今年のパリ大賞はそれほど骨っぽい相手がいたわけではなく、ましてや古馬と戦ったことはないだけに、未知の部分も多い馬である。

 キズナもまた、古馬と戦ったことがなく、ロンシャンもここが初コースと未知の部分が多い馬だが、世界的に見てもトップの水準にある日本で、3歳馬の頂点であるダービーを制した逸材だ。相手が前売り1番人気の馬だからと言って、臆することは何もないと思う。

 だがその一方で、ここでフリントシャーに勝てば凱旋門賞制覇が見えてくるという見方には、にわかには賛同しかねる。ニエル賞にはフリントシャー以外にも、G1英ダービー馬ルーラーオブザワールド(牡3、父ガリレオ)、デビュー2戦目から4連勝でG2ギュームドルナーノ賞(芝2000m)を制したヴァンクーヴェリテ(牡3、父ダンシリ)、G2ユージンアダム賞(芝2000m)を含め2つの重賞を制しているトリプルスレト(牡3、父モンズン)など、虎視眈眈と凱旋門賞を狙っている馬たちが複数スタンバイしているのだ

 ここはあくまでも前哨戦だけに、勝つことにはこだわらないが、このレースで大敗して本番で巻き返した馬も近年はいないだけに、キズナには悪くとも3着までには入る競馬をして欲しいと思う。
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