国枝厩舎の秘蔵っ子アパパネ全弟ウラレナ=秋の2歳戦は個人馬主の良血馬に注目!

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夏はラフィアンとキャロットの首位争い

三冠牝馬アパパネ(写真)の全弟ウラレナが秋デビューに向けて臨戦態勢を整えている 【netkeiba.com】

 今夏に行われた2歳重賞4鞍の内、札幌2歳Sは東京サラブレッドクラブのレッドリヴェールが勝ち、新潟2歳Sはキャロットクラブのハープスターが制した。今年の2歳戦はクラブ馬主が上位を占めているが、ラフィアンターフマンクラブとキャロットクラブが首位争いを繰り広げている。獲得賞金で1億円を超えているのはラフィアン(1億3860万円)とキャロットクラブ(1億2800万円)だけ(9月10日現在)。獲得賞金はラフィアンの方が上だが、キャロットクラブの勝馬率31.0%(出走頭数29頭、勝馬頭数9頭)はラフィアンの23.7%(出走頭数38頭、勝馬頭数9頭)を上回っており、両者の争いは熾烈を極めている。

 3位は獲得賞金7995万円のウインレーシングクラブ。11年7月にコスモヴューファームへの経営譲渡により、ラフィアン色が強くなったが、勝馬率41.2%(出走頭数17頭、勝馬頭数7頭)が示す通り、開幕ダッシュに成功した。4位のサンデーレーシング(獲得賞金6655万円、勝馬率30.4%)を凌ぐ勝馬率の高さは大健闘と言えるだろう。

1億円トゥザワールド、秋デビュー向け栗東入厩

 大手クラブ馬主のサンデーレーシング(出走頭数23頭、勝馬頭数7頭)、社台レースホース(獲得賞金4980万円、出走頭数15頭、勝馬頭数3頭)は秋以降に主力クラスが控えているが、今年はキャロットクラブが例年よりも早く良血馬を始動させている。

 中核を担うディープインパクト産駒のハープスター(2戦2勝、松田博厩舎、募集価格4000万円)、ステファノス(1戦0勝、藤原英厩舎、募集価格7000万円)、フェルメッツァ(1戦1勝、松永幹厩舎、募集価格5600万円)が3回中京、キュリオスティー(1戦0勝、戸田厩舎、募集価格4400万円)が2回新潟開催でデビューしている。

 募集価格1億円のトゥザワールド(牡、父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリー、池江厩舎)は6月20日にゲート試験に合格後、放牧に出ていたが、函館競馬場を経由して栗東に入厩している。5月24日にゲート試験に合格しているディアデルレイ(牡、父キングカメハメハ、母ディアデラノビア、牧厩舎、募集価格5000万円)も8月24日に美浦トレセンに帰厩した。オリエンタルポピー(牝、父キングカメハメハ、母トールポピー、角居厩舎、募集価格4400万円)は8月30日にゲート試験に合格しており、秋デビューに向けて、出走態勢は整いつつある。

 キャロットクラブの13年度1歳馬募集カタログが8月下旬に送付されていたが、早い時期からの活躍は最大のセールスポイントだろう。クラブ馬主にとって、9月は13年度募集馬の出資時期に当たるので新規会員を獲得するために、例年以上に2歳戦に力を入れている傾向があるのかもしれない。

国枝師「アパパネに姿形が良く似ている」

 一方、個人馬主が所有する良血馬は成長を待ちながらジックリ育てる方針が伺える。8月7日の当欄で須田鷹雄さんが紹介した田原邦男オーナーが所有するテスタメント(牡、父ディープインパクト、母ブラックエンブレム)が美浦トレセンに帰厩した。9月10日には早速、坂路を1本、軽めのキャンター(4F62秒4)で登っている。

 小島茂調教師は「骨瘤が出たのでノーザンファーム天栄で休ませていましたが、脚元はすっかり良くなりましたね。牧場サイドがジックリ仕上げてから美浦に戻したいと言うことで秋まで待ちましたが、体質の弱さがなくなり、体もシッカリしてきました。天栄でテスタメントの調教に乗った杉原騎手も『この馬、凄いですよ!』と興奮気味に話していましたし、期待は膨らみますね」と笑みを浮かべる。

 国枝厩舎には金子真人氏が所有するアパパネの全弟ウラレナ(牡、父キングカメハメハ、母ソルティビッド)が8月29日に美浦トレセンに入厩している。国枝調教師が「アパパネに姿形が良く似ている」と話す秘蔵っ子だ。夏の2歳戦はクラブ馬主中心の戦況だったが、秋は個人馬主が所有する良血馬の動向にも注目したい。

▼筆者:辻三蔵
 レーシングライター。元ホースニュース馬」美浦所属トラックマン。
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