凱旋門賞制覇へ日本代表2頭の勝算
オルフェーヴルに不安なし、あとはコンディション
昨年の凱旋門賞はゴール直前でかわされてまさかの2着、オルフェーヴル(左)のリベンジに期待したい 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
しかし、レースでは勝利目前までたどり着きながらも、最後の最後で足元をすくわれてまさかの2着。直線で後続馬たちを置き去りにし、一旦は日本馬初の凱旋門賞制覇かと思われたほど、関係者やファンは胸躍らせたが現実は甘くなかった。勝ちに等しい2着だっただけに、なんとも歯痒い結果だった。それでも最初の海外遠征に加え、59.5キロの斤量や力のいる馬場に対応できるかなど、あらゆる課題をクリアできたことは大きく、この馬の適応能力の高さを再認識させられたことに違いはない。
そして、今年は2度目の凱旋門賞挑戦。初めてづくしだった昨年とは違い、厩舎スタッフ、馬自身も余裕がある。今回はコンディション以外での不安要素は皆無に等しいと言っても過言でないはずだ。その肝心なコンディションだが、前哨戦であるフォワ賞(9月15日、ロンシャン競馬場2400メートル芝)の1週前追い切り直前で帯同馬に蹴られて外傷を追うアクシデントがあり、追い切りを急遽、中止することになったが、傷も浅く、本番へ向けての影響はそれほどなさそう。あとはフォワ賞でしっかりと本番につながるレースができれば、本番では昨年以上の結果、すなわち夢の凱旋門賞制覇が現実のものとなるはずだ。
斤量有利のキズナ、前哨戦で収穫を得たい
キズナはロンシャンでも切れ味を発揮できるか 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
それでも3歳牡馬ということで、56キロに設定されている斤量はかなり有利に働くはず。オルフェーヴルをはじめとする古馬は59.5キロなので、その斤量差は3.5キロ。実際に凱旋門賞では3歳馬や斤量の軽い牝馬の活躍が目立っているぐらいだ。さらに前哨戦であるニエル賞(9月15日、ロンシャン競馬場2400メートル芝)を使うことも大きい。3歳馬ということでノビシロもあり、色々な経験を重ねれば吸収することも多くなる。一度本番と同じコースを経験できることは実に大きなプラス材料だ。フランスに到着してからも落ち着いた様子で調教をこなしているとのことなので、まずは第一関門とされていた輸送もクリアできたと言える。あとは、凱旋門賞と同じコース・距離で行われる前哨戦のニエル賞での収穫があれば、本番での激走に期待できる。
まだ前哨戦も終えていない段階で、凱旋門賞へ向けての展望などは少々早いが、とにかく2頭とも無事に前哨戦を消化し、万全な状態で大一番に臨んでほしい。そうすれば必然と結果はついてくることだろう。
(photo & text by Kazuhiro Kuramoto)
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