アスリートが語る「オリンピック・パラリンピックの魅力」と「スポーツの力」
スポーツを一言で表現すると……「希望」「パワー」「全力」
スポーツを「全力」と表現した松本選手。「目標のために頑張ること、ベストを尽くすことは尊い」と訴えた 【スポーツナビ】
以下は質疑応答の一部。
――世界大会で活躍する選手と、県大会レベルで精いっぱいの選手には、どんな違いがあると思いますか?
松本 自分もエリートではなかったので、県大会レベルでもがいていた選手です。そこからどう成長できるか。どんなレベルであっても明確な目標を持つことが大切だと思います。目標に近づくために自己犠牲を払ってでもできるか。いい指導者に巡り合うこと、いい環境で練習することももちろん要素のひとつですが、それは後からついてくるものです。極めようと思えば後々選べるものですね。それよりも、明確な目標を持ち、そのために何ができるかを考えることです。ダイエットでも同じことが言えます。「今日はいい。明日からやろう」と。また次の日「明日から」では、いつになっても変わりません。明日は今日の積み重ねの上に成り立ちます。スポーツもそうです。毎日の積み重ねがあって、目標にたどり着けるものだと思います。
――オリンピック・パラリンピックの開催地決定と同時に、採用競技(最終候補はレスリング、野球・ソフトボール、スカッシュの3競技)も決まりますが、どのような順番で発表されるのですか?
渡部部長 2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地は2013年9月7日(現地時間)、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されるIOC(国際オリンピック委員会)総会で決まります。その翌日8日に採用競技の決定、さらに10日にIOC会長選挙が行われます。世間一般的な興味は開催地、採用競技、会長選挙の順番ですが、IOCにおける重要性というのはその逆で、最後に一番重要な会長選挙が行われる、という流れになっています。
――スポーツを一言で表現するとしたら、どんな言葉ですか?
田口 私は「希望」ですね。25歳のとき、病気で車いす生活を余儀なくされました。ちょうどそのとき、長野オリンピック・パラリンピックを病室で見ていたのを思い出します。パラリンピックに出ようとか、そんな気持ちはまったくなくて。ただ、すごいなと。当時の私は未来を描くことがなくて、先のことなんて考えられませんでした。目の前のことで精いっぱいでした。それから射撃と出会って、障害スポーツに取り組むにようになったんです。それから少しずつ……。「次はこの大会があるよ」「ここで頑張れば次はパラリンピックに出られるよ」ということを言われていて、気がついたら「あれ、私、2年後のことを目標にしている!」と。射撃が生きる力になっていたんです。スポーツが希望をもたらしてくれました。
渡部部長 スポーツは「パワー」でしょうか。夢や希望を持つこと、与えること、そういったすべての源になるのだと思います。東京にオリンピック・パラリンピックがやってくれば、選手や子どもたちがそれを目指して頑張ってくれます。そのためにも私たちがパワーを持って最後まで取り組んでいきます。
松本 スポーツは「全力」です。今の時代、一生懸命頑張ること、全力を尽くすことがカッコ悪いと思われがちですよね。震災の復興支援で被災地を訪れても、先生たちから聞くんです。「最近の子どもたちは全力で頑張ることをカッコ悪いと思っている」と。でも、それは違いますよね。目標のために全身全霊をかけて頑張ること、ベストを尽くすことはとても尊いことです。スポーツに限らず、何事においてもそうです。そのときに私たち選手は何ができるだろうかと。目標に向かって全力で頑張る姿を見せることだと思うんです。それを見て子どもたちに何かを感じてもらえればと。その力がスポーツにはあると信じています。
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<了>
協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会