揺るがぬ柱へと成長する木村沙織の変化=主将として若手を先導するも根は自然体
葛藤の原因はメンタル面の問題
人に意見を伝えるのは不得手な方だが、率先して若手に声をかける木村(右) 【坂本清】
「ゲームの中でも、こっちが主導権を握って、得点を取っているのにコートの中が静かで、勢いに乗り切れていないのがすごくもったいないと思うんです。みんな一生懸命やっているんですけど、今一つ、必死さが伝わらない。自分も含めて、戦う空気をもっとガっと出していかないと、厳しい戦いになったときに我慢しきれず、相手にやられるだけになってしまうので、まずはそういう部分を意識しなきゃいけない。プレー面もそうですけど、意識の面でも、代表として足りないところが多すぎるので、そこは省かず、ちょこちょこ言っていかなきゃいけないな、と思います」
チームのためにと気遣う一方で、真鍋監督が言うように、新たに加わった責務、立場の変化が木村の言動を変えた。どちらかと言えば、自分の考えや意見を人に伝えるのを不得手とするのだが、若い選手が増えた代表チームで、戦う意識を根付かせるためには、苦手だから、と逃げるわけにいかない。
キャプテンらしさを実感する江畑
「たとえ自分の調子が悪くても、周りが伸び伸びプレーできるように声をかけたり、ミーティングのときもいろんなことを発言するんです。私や(新鍋)理沙がもっと助けなきゃいけないんですけど、プレーの面や、プレー以外の面も、チームをまとめるためにいろんなことをしていて、すごくキャプテンらしいな、と思えるキャプテンです」
高校生で代表入りしてから10年、三度の五輪を経験し、メダリストにもなった。そして今、若いチームの中で格闘しながら、揺るがぬ柱としてチームの屋台骨を支える。
チェコ戦の翌日、27回目の誕生日を迎える。
「あ、そっか。忘れてた。バタバタしすぎですね」
あくまで、自然体で。四度目の五輪へ向けた戦いは、これまでと、ひと味もふた味も違うものになりそうだ。
<了>