福士、笑顔の銅に「人生楽しんだ者勝ち」=世界陸上・女子マラソン一夜明け会見

構成:スポーツナビ

表彰台に上がり、3位と4位の違いを実感

笑顔で42.195キロ駆け抜けた福士。大会後はとにかく休養に専念するつもりだ 【Getty Images】

――レースを終えて体調の方はいかがですか?

 朝は頭が少し痛かったです。ちょっとぼーっとしました。熱中症で体もきついです。でも結果が良かったので、気持ち良い、心地良い疲れという感じです。

――覚悟を決めて走ったということですが、その覚悟とは?

 長いですもの(笑)。長いので覚悟しないとできないです。

――今までのマラソンでは覚悟はしてなかったのですか?

 してなかったです(笑)。何とかなるだろうと思っていました。

――レースをこなしていくことで、マラソン(の調整など)に関してはいろいろと分かってきましたか?

 分かってきてはいないですけど、とりあえず長いです(笑)。長いというのが一番ですね。

――練習を終えて、大会が近づいてきてもまだ長いと感じますか?

 長いです。練習も長いですし、調整の期間も長いですし、レースも長いです。とりあえず長いです。うん、長い(笑)。あれを「楽しい42.195キロでした」と言えた高橋尚子さんはすごいと思います(笑)。本当に楽しい時なんて2、3分しかないです。

――その2、3分のために、また走りたいとは考えていませんか?

 今のところはもう走りたくないです(笑)。

――30キロまでは気持ち良さそうに走っていたように見えましたが?

 全然そんなことないです。15キロでもきついですよ。余裕なんていっさいなかったです。とりあえずしょうがないと思って走りました。とにかく完走しようという気持ちでした。

――一夜明けて実感するものはありますか?

 3位と4位では違うということは感じます。4位にはトラック競技の大会でなったことがありましたが、表彰台に上がると違うなと思いました。

――もう一回、表彰台に立ってみたいとは思いませんか?

 もういいです(笑)。トラックでもいいです。一回でいいです。十分です(笑)。

――マラソンで結果を出したいという思いはありましたか?

 結果というよりはちゃんと最後まで走りたいと思っていました。

――結果を出したことによってさらに欲が出てきたということはありますか?

 全然ありません。あーすっきりした!! という感じです(笑)。頑張ったなと思います。

――走ることへのモチベーションを失ったということですか?

 今のところはないですね(笑)。駅伝ですかね? 駅伝に向けて頑張ろうかなと思っています(笑)。そんな感じで何も考えていないです。

まずは休養、駅伝に間に合えば出場も

――棄権も考えていたということですが、体調が万全でない中、仕上がり具合は良かったのですか?

 十分に仕上がりました。これ以上にないというくらいの出来でした。

――貧血の不安はありましたか?

 貧血はありましたが、その症状から1、2カ月がもう経っているので、そこからは上がるだけでした。

――永山忠幸監督は次は記録を狙ってほしいと言っていましたが?

 指揮官としてはそう言うでしょうね(笑)。

――これからはどう過ごしていくつもりですか? 休みなどに関して。

 全部休みます(笑)。これからどんどん疲れが出てくると思いますので、まずは休みます。駅伝までに間に合えば出ます。後はやりません(笑)。今年は長い距離はもう無理です。

――体調が悪い時に薬を飲まないから治りが遅かったという話を聞きましたが?

 サプリメントですよね? サプリメントをすすめられて飲むようになったら、調子が良くなってきたので、今回は使おうと思いました。

――これまでそうしたサプリメントを服用しなかったことの理由は何ですか?

 薬が嫌いだからです(笑)。自分は頼らなくても大丈夫だと思っていました。でも、今回はいろいろなものを頼りました。

「マラソンは長いけど、素直になれる競技」

――マラソンは自分と向き合えるとのことでしたが、向き合ってみてどう感じましたか?

 すごく弱いと思いました。本当に弱い自分です。昨日のレースでも思いました。15キロくらいで、みんながいなくなると、すごく寂しくなりました。これはもう無理かもと一瞬、思いました。30キロくらいでも思いました。でもしょうがないのであと10キロ走り続けるしかないと思い、走りました。もう十分です。

――永山監督は練習法が分かってきて、ほかにも教えたいことがあるようですが?

 次の教え子に託します(笑)。私はもういいです。

――レースを通じてもっとという欲は出てきませんか?

 もういいですよ。またやりたくなったらやればいいですし、それでいいと思います。

――メールや電話は何件くらいきましたか?

 50件もきました。

――渋井陽子(三井住友海上)や新谷仁美(ユニバーサルエンターテインメント)から連絡はきましたか?

 渋井ちゃんからはレース前からありました。「不安は不安しか生まない」と言われました(笑)。とりあえず開き直って頑張れと言われました。さすがでした(笑)。

――宿舎では野口みずき(シスメックス)といっしょでしたか?

 ご飯はいっしょではないです。別々でした。部屋は一緒ですが、レース後はすごくバタバタしていたので、帰ってきた時にはもう先に休んでいました。会話はしていないです。

――今後、マラソンで1位になるということは考えてますか?

 今回のでもう十分だと思いますよ(笑)。

――日本のファンへのメッセージをお願いします。

 人生気楽に生きた方が良いですね(笑)。気楽に生きていればいつか良いことがあると思います。楽しく生きていくことが一番です。楽しんだ者勝ちです。

――マラソンの競技をしている選手たちに向けてのメッセージもお願いします。

 私にとってはマラソンは長いですが、素直に慣れる競技かもしれませんね。後は自分と向き合うことができます。なので、頑張っていただけたらと思います。

<了>

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