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桐光・松井の敗因「省エネ」求め陥った罠
物足りなさ残る最後の夏=前田幸長が解説
桐光・松井が陥った罠とは……前田幸長氏が敗因を分析
桐光・松井が陥った罠とは……前田幸長氏が敗因を分析【写真は共同】

 今秋ドラフトの目玉、桐光学園高の松井裕樹の夏が終わった。夏の甲子園を目指す高校野球・神奈川県大会の準々決勝が25日、横浜スタジアムで行われ、松井は強豪・横浜高に対し8回を投げ10個の三振を奪うも、2被弾するなど8安打3失点。2対3で敗れた。


 試合は初回に桐光が幸先よく1点を先制するも、その後追加点を奪えず、4回裏に松井が横浜の4番・高浜祐仁に同点ソロを被弾。7回表に桐光の1番・大嶋優太のソロで勝ち越すも、その裏に横浜の2番・浅間大基に逆転2ランを浴び、これが決勝点。松井は2本のホームランに沈んだ。


 スポーツナビでは、福岡第一高3年春のセンバツでチームを14年ぶりに甲子園に導くと、続く夏の甲子園で準優勝の成績を残した前田幸長氏に特別解説をしてもらった。松井と同じく、高校球界を席巻した左腕の前田氏は、横浜高との準々決勝をどう見たのか。

物足りない内容、力でねじ伏せる投球見たかった

 横浜高が相手だからだったのか、立ち上がりは硬さが見えました。前回登板した横浜商大戦(7月22日)と比べて1球1球の間が長いように感じましたし、慎重になっている印象でした。真っすぐは140キロ中盤が出ていましたし良かったと思いますが、非常にテンポが悪かったですね。高校野球でスコア2対3の試合で、試合時間が2時間40分は長いと思います。ここに松井くんのテンポの悪さ、本来の間ではなかったことが表れているのではないでしょうか。横浜高の伊藤投手の方が自分の時間・間をうまく使っていたように思います。


 逆転された場面(7回裏)は、味方の守備の乱れ(フライをファーストとセカンドがお見合いしヒットにする)からでした。普通の高校生なら動揺する場面です。しかし、特に昨夏の松井くんなら、そういった場面こそ、心を乱さず、「三振を取ってカバーしてやろう」という気持ちがピッチングに表れていました。今日もそうだったと思いますが、三振を奪えず、痛打を浴びました。

 横浜高も右バッターなら内角の、左バッターなら外角のスライダーに対し準備ができていたように見えましたが、彼の本来のスライダーなら対策を講じても振らせてしまう力があると思います。三振10個で意地は見せましたが、ここぞの場面で空振りを奪えず、ファウルで粘られる場面も多かったのを思うと本調子ではなかったのかな、と推測されますね。


 私も高校3年の甲子園のときは、調子がいまいち上がらず苦しいピッチングでした。それでも力でねじ伏せるピッチングを目指して甲子園に行き、準優勝までいきました。今日の松井くんには力でねじ伏せるピッチングが見られなかったのは非常に残念でした。何か物足りない感覚を、見ている人は感じたのではないでしょうか。


 横浜高の4番・高浜くんとの勝負が顕著だったのですが、力でねじ伏せなくてはいけないバッターに初球・チェンジアップを使った(4回のホームランの場面)。技術的な部分で抑えにかかっていたように思います。今夏の前、チェンジアップを覚えたとか、今大会中も「省エネ投球」とか言われていましたが、本来ならストレートとスライダーで抑えられる力がある投手です。チェンジアップを覚え、投球の幅を広げたと思ったのでしょうけど、半速球はコントロールを間違うと非常に危険なボール。実は打たれる隙を作ってしまったように思います。


 8回の3者連続三振の時の投球を常時見せられたら、結果は違ったかもしれません。

構成:スポーツナビ

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

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