30周年特別コラム vol.3「アカデミーで出会った2人の"サンガを強くしたい"思いが重なる」

京都サンガF.C.
チーム・協会
今年設立30周年を迎えた京都サンガF.C.は、設立以来「夢と感動を共有し、地域社会の発展に貢献する」というクラブ理念のもと活動し、試合の勝敗だけでなく、地域やサンガに関わる全ての方と共に「地域の誇りとなるクラブ」を目指してきました。
これからも地域の皆様とつながり、そして愛されるクラブになるよう、活動を続けていきます。

30周年特別コラム vol.3「アカデミーで出会った2人の"サンガを強くしたい"思いが重なる」

2017年京都サンガF.C.アカデミーで出会った川﨑颯太と前多駿佑。京セラ・京都サンガF.C.・立命館学園の三者が核となって推進する、サッカーのプロ・トッププレーヤー育成プロジェクト「スカラーアスリートプロジェクト」のもと、2人はプロを目指し3年間ともに切磋琢磨する日々を過ごした。その後別々の道を歩んできた2人が前多の京セラ入社をきっかけに、アカデミー時代を振り返りサンガへの想い、今後のビジョンを語り合う。

二人は京都サンガF.C.U-18で3年間、チームメイトでした。それぞれの印象は、どんなものでしたか?

川﨑)僕は中学から高校に進学するときに京都サンガに入団したんですが、駿(前多)がいたからチームに早く溶け込むことができました。彼は人柄がよく、明るさもあります。高校からサンガに入った僕と違って、駿は中学の頃から知っている先輩たちも多かったです。入団した当初はチームに馴染めなかったんですが、駿が先輩たちと接したりイジられているのを見て『こうやって仲良くなっていくんだな』というのがわかりました。あと、駿が石川県から京都にやってきたことや、覚悟を持ってサンガへ入団したことも知っていたので、そういう親近感もありましたね。

アカデミー所属時・RYOMA寮にて(川﨑:前列左から2人目、前多:後列左から2人目) 【ⒸKYOTO.P.S.】

前多)たしかにU-15から内部昇格した選手と、高校から入団してくる選手との橋渡し役になることは意識していました。苦楽を共にするチームメイトとして、みんなが仲良くなれたと思います。実は今日、U-18の同期の1人が誕生日なんですが、同期のグループチャットで「おめでとう!」というメッセージを送りあったり、今でもいい関係が続いています。
颯太(川﨑)の第一印象は…当時は坊主でしたね(笑) 関東遠征の時にチームに参加したのが一番最初の出会いでした。最初から先輩たちと距離が近いというか、サッカーをするうえで必要な話やお互いへの要求について、敬語を使わずにコミュケーションを取っていて、当時から大物感がありました。そして高校3年生のときには、本当に頼りになる素晴らしいキャプテンになっていました。僕が左サイドバックで、颯太がボランチだったんですが、安心感のあるプレーをしてくれました。

アカデミー所属時・川﨑颯太 【ⒸKYOTO.P.S.】

川﨑)駿はサイドバックだけでなくセンターバックを任されることもあって、何でもできる選手という印象がありました。身体は細かったけれど競り合いに弱いわけではなく、ヘディングも強かったし、走ることもできました。万能タイプの現代型ディフェンダーでしたね。

アカデミー所属時・前多駿佑 【ⒸKYOTO.P.S.】

二人は京都サンガ、京セラ、立命館学園が推進する『スカラーアスリートプロジェクト』の13期生として高校3年間を過ごしました。このプロジェクトを、どのように感じていますか?

前多)実は京都サンガの他にも、Jリーグのクラブから誘いを受けていたんです。 どちらにしようか迷っていましたが、文武両道を掲げていてサッカーも勉強もがんばれる京都サンガに進むことを決めました。実際に高校3年間はプロ選手を目指 す仲間たちと素晴らしい時間を過ごすことができましたし、環境もすごく恵まれていました。寮と立命館宇治高校とサンガタウンの練習場がそれぞれ近い距離にあって通いやすかったですし、自立した生活を送れたことが、今の社会人となった自分にもつながっていると思います。様々な価値のあるプロジェクトだと感じています。

アカデミー所属時・前多駿佑(写真右側) 【ⒸKYOTO.P.S.】

川﨑)僕も甲府から京都へ行くと決めた時、親としては快く送り出したい反面、心配もあったと思います。サッカーだけでなく勉強や生活を考えたとき、京都サンガに行くことがベストな選択だったと今でも思っています。立命館宇治高校という素晴らしい学校で学べたことや、高校が京都サンガと提携していることで困ったときには両方から助けてもらえたことなどもありがたかったです。親から見ても立命館というブランドや、立命館大学へ進学することもできるという安心感があったでしょう。そうしたものを実現させるために京セラさんの金銭面やそれ以外も含めたサポートもあったと思います。親も子も安心して『ここだったら成長できる、子どもを預けられる』という環境だったと思います。

アカデミー所属時・川﨑颯太(写真中央) 【ⒸKYOTO.P.S.】

京都サンガへの思いも聞かせてもらえますか?

前多)中学から6年間育ててもらったクラブとして、すごく思い入れがありますね。今も京セラの社員として関わらせてもらっていることを誇りに思います。立命館大学に進学してからもサッカー部の活動をこなしながら、練習が休みになる毎週月曜日にはサンガタウンで普及部の活動にも参加させてもらっていました。就職を考えたときに京セラを選択したのも、サンガに関われる可能性があるということが大きな理由の1つでした。これから、仕事で恩返しができればと思っています。

普及部スクールコーチ時・前多駿佑 【ⒸKYOTO.P.S.】

川﨑)駿には大卒でプロ選手になって欲しかったという思いがありました。立命館大学のサッカー部で苦しい思いをしながらもがんばっていることは知っていましたし、また一緒にプレーしたいという気持ちはあったんですが、選手から離れてもこうして京都サンガを大切に思ってくれている事、次は京都サンガを支える側に回ろうとしてくれている事は嬉しかったです。共に過ごしたのは高校3年間だけですが、また違う形で一緒に仕事ができればいいなと思います。

サンガスタジアム by KYOCERAにて (川﨑:右から2人目、前多:写真中央) 【ⒸKYOTO.P.S.】

前多さんはここまで社会人としての生活はいかがですか?

前多)この4月に入社したばかりなので、ビジネスマナーや敬語など、まだまだだな…と感じています。ただ、京都サンガも含めてこれまでサッカーで取り組んできた粘り強さや目標に向かって努力し続けることなどは、社会人としても通じるものがあるように感じています。本当は選手として京都サンガに貢献することが目標でしたが、こうして違う形でも関わることができるし、それはスカラーアスリートプロジェクトの中で自分が成長できたからだと思っています。

京セラにて・前多駿佑(写真右) 【Ⓒ 2024 KYOCERA Corporation】

川﨑選手は高校を卒業して、トップチームに入団したばかりの頃はどうでしたか?

川﨑)まずは選手として、まだ認められてないなと感じました。高校生からいきなり試合に出ることはそんなに例がありませんし、周りからの目も『ペーペーだな』という感じでした。練習でも、まだ信頼されていないことが悔しかったです。プロになった直後にコロナ禍になって、ピッチの中はもちろん、ピッチの外でもチームメイトと会話をしたりすることがほとんど出来ませんでした。そういう面で"川﨑颯太"という人間を知ってもらうことができなかったのが難しかったですね。スタッフに認めてもらうこともそうなんですが、やっぱりチームメイトに認められないといけなくて、それが辛かったです。そんな中でも自分にできることを見つけていって、日々の練習などから小さな信頼を積み重ねていったのが、現在に繋がっていると思います。

川﨑颯太(写真中央) 【ⒸKYOTO.P.S.】

川﨑選手はプロ生活5年目を迎え、前多さんはこの春から社会人としての第一歩を踏み出しました。それぞれ今後のビジョンなどはありますか?

前多)今は京都サンガに直接関わる業務ではありませんが、京セラの社員として京セラの価値を向上することに尽力していき、それが京都サンガを強くすることにもつながると信じています。そして、ゆくゆくは京都サンガをビジネス面から支え、強くできる人間になりたいと思っています。また、サンガのアカデミーに所属している選手たちに対して、みんなプロサッカー選手を目指してがんばってほしいんですが、全員がプロ選手になれるわけではないのが現実です。僕の同期では、颯太と山田楓喜(今季は東京Vへ期限付き移籍中)がトップ昇格してプロの世界でがんばっていますが、別の道に進んだ前多駿佑という人がいて、その人のような人生を歩むのもいいなと思ってもらえるようなロールモデルになりたいです。

川﨑)自分は選手として関わらせてもらっている以上は京都サンガを強くしたいし、クラブの価値も上げていきたいと思っています。また、京都サンガをこの街に根付 かせるためには、僕たち選手のプレーもそうですが、クラブとしてのビジネス面などピッチ外も含めた活動が大切になってきます。どのように京都サンガを皆さんの日常に落とし込んでいくのか、そういう面では京セラさんや他のスポンサーさんの力が必ず必要になってきます。僕は選手とピッチ内で精一杯プレーしますし、駿もいつかサンガと関われるようになって、多角的な面から京都サンガの価値を上げていけるような取り組みができるようになればいいなと思っています。

川﨑颯太(写真左)・前多駿佑(写真右) 【ⒸKYOTO.P.S.】

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日本プロサッカーリーグに加盟するプロサッカークラブ、京都サンガF.C.の公式アカウントです。クラブの最新情報やイベント情報、オリジナルコンテンツなど、様々な情報をお届けします。

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