14万人の『武豊』コール! キズナ劇的V差し 秋の目標は凱旋門賞、父ディープの分まで
自らを責める福永「自分が至らなかった」
いったんは先頭に立ち、勝利も見えた福永とエピファネイア(右・黄色帽)だったが…… 【写真:中原義史】
つかみかけた勝利が、するりと手のひらからこぼれた。気持ちを整理するように、時間を置いてから報道陣の前に姿を見せた福永。自らの力不足を責めた。
「あと一歩までいったんですが……。エピファネイアの有り余る闘争心をうまくコントロールできませんでした」
道中はやはり折り合いに苦しみ、引っかかり気味での中団追走。「ずっと我慢してくれていた」と、制御不能まではいかず、なんとか勝負に持ち込める態勢を整えつつあったが、3コーナーで前を行く馬の脚と接触してしまい、落馬寸戦までバランスを崩すアクシデントも痛かった。
「それでも、ひるまずにグイグイと進んでくれたし、いい手応えのままタイミング良く外にも出すことができた。これならと思ったんですが……」
しかし、この日ばかりは相手が悪すぎた。福永エピファネイアの1つ上の次元を行く末脚に完敗。ただ、ジョッキー自身、自分の相棒が力負けしたとは思っていない。
「あれだけ引っ掛かりながら、これだけの競馬をするんですから、本当にエピファネイアはすごい馬です。ただ、僕が至らなかった」
最も悔しさが残る2着続きで終わった春二冠。この無念は秋に晴らすしかないだろう。
距離の壁か、5着ロゴタイプ「脚が止まってしまった」
二冠ならずロゴタイプ(中・青帽)は5着、距離が長かったか 【写真:中原義史】
道中は5番手の絶好位を追走。折り合いもピタリとつき、兄ミルコからバトンを託された弟クリスチャンも「1コーナーでいいポジションが取れたし、4コーナーもいい手応えで回れた」と、勝利を確信していい競馬だった。しかし最後の直線、坂を駆け上がったあとの残り1ハロンが、ロゴタイプにとって大きな“壁”となり立ちはだかった。
「坂を上がってから伸びを欠いてしまいました。2000メートルだったらそのまま強い競馬ができていたと思うけど、長い直線で脚が止まってしまいました」とクリスチャン。 その言葉通り、外から強襲してきたキズナ、エピファネイアに抵抗できず、それどころか前を行くアポロソニック、ペプチドアマゾンもとうとう捕まえ切れずに5着。掲示板を確保したのはせめてもの意地だったが、距離の壁に跳ね返されての完敗だった。
また、9着に敗れた皐月賞3着馬コディーノ(牡3=美浦・藤沢和厩舎)も、「結果論になってしまうけど、この馬には距離が長いかもしれない。マイルから2000メートルくらいなら実力を発揮できる馬だと思う」と、騎乗したC・ウィリアムズは語っている。