エースの信頼感がもたらしたダルビッシュの7勝目=橋本清が解説

構成:スポーツナビ

8回まで粘投にプライドと自覚見た

 一方のバーランダーは、ボールがコントロールできていませんでした。疲れがあったのか、微妙なコントロールができていませんでした。好投手同士の投げ合いということですが、過度に意識はしていなかったと思います。しかし、メジャーで実績のある選手ですし、「負けられない」といプライドはあったはずです。ダルビッシュのことも良い投手として認めているはずですから、そういった気持ちが力みにつながっていて、微妙なコントロールを乱していたように思います。

 ダルビッシュの勝ち運の良さですが、エースとしてチームに信頼されているからだと思います。エースの時はやはり負けられないという意識がチーム全体にあります。打線のモチベーションが高い訳ですから、味方が大量援護ということも珍しくありません。
 今日、誰もが崩れると思わなかったバーランダーを攻略したわけですから、レンジャーズがダルビッシュをエースとして認め、「負けさせられない」と強く思っていたんだと思います。

 また、ダルビッシュもこれに応えましたね。普通なら球数もいっていましたし、6回で降板するところです。それを8回まで粘投するところに、ダルビッシュのプライドとエースとしての自覚を感じました。とてもすばらしいと思います。
 こういったことの積み重ねによって、信頼度はさらに上がりますし、逆転してくれたバッターに対してもお礼になったはずです。テキサスの選手、ファンに「ダルビッシュは本当にタフですばらしいピッチャー」と思わせた今日の投球ではなかったでしょうか。

<了>

橋本清/Kiyoshi Hashimoto

 1969年5月22日生まれ。大阪府出身。PL学園高−巨人−ダイエー。188センチ、90キロ。右投げ右打ち。PL学園高では立浪和義(元中日)、片岡篤史(元日本ハム、阪神)、野村弘樹(元横浜)らと甲子園春・夏連覇に貢献、その年のドラフト会議のドラフト1位で巨人に入団。巨人では中継ぎのエースとして活躍し、当時の長嶋茂雄監督が「勝利の方程式」と呼ばれ、94年の日本一に貢献した。2001年に引退後はスポーツライターや野球解説者として活躍している。

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