「悪者」モリーニョ劇場の終えん=憎まれ続けた男がマドリーを去るとき

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今季最後のタイトルを前に

不可解だったのは正GKだったカシージャス(左)を先発から外したさい配。これが不信感を増長させた 【Getty Images】

 そして唯一にして最大の目標だったCLが終わった直後より、再びモリーニョは周囲の憎しみを進んで買い集めるような言動に走りはじめた。

 会見では「18人の監督が21年かけてCL準決勝に5回たどりついた。悪者モリーニョは3年で3回だ」と自身の功績を自慢。執ように理由を問われるカシージャス外しについては「就任1年目の終了後にディエゴ・ロペスの獲得を要求したが受け入れられなかった。残念だ」「ある選手が他の選手より優れていると考えた時に問題は生じる」といったコメントで批判を煽り続けている。

 チーム内では1−4と大敗したドルトムントとの第1レグ以降、選手たちとほとんど言葉を交わすことがなくなった。一度もテクニカルエリアに出ることなく、試合を静観し続けた4日のバジャドリー戦後は、チームに何のメッセージも残さずスタジアムを後にし、翌日の練習でも無言を貫いたという。

 そんな指揮官を尻目に、チームは今季残された最後のタイトルであるスペイン国王杯を制すべく、団結を強めている。14日には新加入選手の支払いで催される毎年恒例の昼食会が行われたが、そこに通常あるべきモリーニョらコーチ陣の姿はなかった。

 延長戦にもつれ込んだ末にクリスティアーノ・ロナウドの決勝弾で宿敵バルセロナを下した2年前と同じく、17日の決勝でも選手たちは闘志溢れる激戦を繰り広げるに違いない。だが試合後、キャプテンのカシージャスがトロフィーを掲げることになった際、指揮官が見せる表情は2年前とは全く異なるものになるのだろう。

<了>

文/工藤拓、提供/WOWOW

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