「人魚になれる」水中最速競技、フィンスイミングの魅力
普及に向けて続く努力「好きだからこそ広めたい」
モノフィンを履き、空気ボンベを手に泳ぐ「イマージョン」のレースに臨む選手ら 【スポーツナビ】
また、とっつきにくさを指摘する人もいる。モノフィンは安いもので1枚4万円弱。初期投資がこれ以上かかるスポーツはたくさんあるが、ある指導者は「水着とキャップ、ゴーグルだけで始められる水泳とどうしても比較されてしまう」とこぼす。また、野球やサッカーといったメジャーな競技のように、クラブチームも多くはない。興味を持ってフィンスイミングをやってみたいと思っても、なかなか気軽に始められないのが現状だ。
それでも関係者は、フィンスイミングの普及を目指して積極的に活動を続けている。日本トップレベルの選手たちも体験会を開き、フィンスイミングの魅力を伝える役割を果たしている。また、ある大学生のクラブでは、競技を極めると同時にインストラクター資格の取得にも力を入れている。メンバーの一人は「目標は日本代表になること。記録も狙うが、好きだからこそ、フィンスイミングを広めたいという思いがある」と力を込めて語ってくれた。
藤巻に憧れてフィンスイマーに……
藤巻もまた、自身がテレビに出演することで「『フィンスイミングって聞いたことがある』という人が増えてきた」と認知度アップを実感し、「競技人口が増えたら、どんどん楽しくなると思う。そういう(普及という)面でも頑張りたい」と意気込む。
「このスピード感は見るだけじゃ分からない。ぜひ一度体験してほしい」と関係者は口をそろえる。それは「一度体験したら病みつきになること間違いなし!」という自信を感じさせる言いっぷりだ。ただ泳ぐだけでは決して得ることのできない、フィンスイミングだからこその感覚を、より多くの人に味わってもらいたい――関係者の努力は、これからも続く。
<了>