好調ロッテに光る「日替わりヒーロー」の存在

千葉ロッテマリーンズ

打線がつながり、今季初の4連勝

3試合連続の三塁打を放つなど、打撃好調な鈴木大地 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 千葉ロッテが上昇気流に乗っている。
 4月17日には最下位だったが、18日の北海道日本ハム戦に5対1と勝利したのをきっかけに、今季初の4連勝。21日の時点で11勝9敗(勝率5割5分)と、一気に2位まで順位を上げ、首位・埼玉西武を2.5ゲーム差で追っている。

 4月19日からの東北楽天との3連戦は、3対1、6対3、9対5とすべて逆転勝ち。粘り強い戦いぶりに、伊東勤監督は「接戦をものにして、少しずつ力がついてきたんじゃないかな」と目を細めている。
 それを象徴していたのが、4月21日の試合だった。
 初回に1死二、三塁からホワイトセルの犠飛で先制。しかし2回、先発した吉見祐治が楽天の一発攻勢を受ける。マギーに2ランを打たれて逆転を許すと、4回にはジョーンズ、マギーに連続本塁打を浴び、4対1と点差を広げられてしまった。

 しかし、4回裏に千葉ロッテが反撃する。
 先頭の3番・井口資仁が中前打で出塁すると、4番・ホワイトセルの左越え二塁打で、まず1点。無死二塁から5番・今江敏晃の内野ゴロを遊撃手が三塁へ悪送球して無死一、三塁とすると、6番・鈴木大地が左前へ適時打を放って1点差に詰め寄った。続く7番・伊志嶺翔大の犠打が相手の失策を誘い、無死満塁。ここで、指揮官は代打・神戸拓光を打席に送る。
 この指揮官の采配が、ズバリ当たった。

「力まないように、犠牲フライでもいいというつもりで打った」という神戸の打球は左翼への2点適時打となり、5対4と逆転に成功する。
 さらに9番・岡田幸文の犠打で1死二、三塁とチャンスを広げると、1番・根元俊一が右前へ運んでこの回5点目。6対4と一気に試合をひっくり返した。その後も5回に今江、6回には角中勝也、井口の適時打で加点すると、5回以降は香月良仁、南昌輝、松永昂大と継投してリードを守り切り、9対5で勝利した。

 試合後、報道陣に囲まれた伊東監督は、選手たちの踏ん張りをたたえた。
「打線はうまく相手の隙をついて、つないでくれた。みんなが後ろにつなごうと意識している表れでしょう。投手陣もよく抑えてくれましたね」
 そして、4連勝の要因について語った。
「みんなが日替わりで活躍してくれている。つなぐのがウチの持ち味。全員が束になってかかっていかないとね」

2年目・鈴木大地がリーグタイの3試合連続三塁打

 この指揮官の言葉どおり、21日の殊勲者・神戸のほかにも試合ごとにヒーローが生まれている。18日の北海道日本ハム戦では、唐川侑己が7回3安打1失点の好投で今季初勝利。19日の楽天戦では、成瀬善久が8回1失点とエースらしい投球を見せれば、伊志嶺が勝ち越し打を放って援護した。

 特筆すべき活躍を見せているのが、2年目を迎えた鈴木だ。
 ルーキーイヤーの昨年は6月に初めて1軍に昇格すると、代打や代走での起用のほか、けがで戦線離脱した根元に代わって遊撃を守るなど62試合に出場。打率2割7分4厘、11打点という成績を残した。今季の開幕当初は途中出場が続いたが、与えられた機会でベンチの信頼に応えた結果、この4連勝中は6番・セカンドとしてスタメンで起用されている。
 18日の北海道日本ハム戦では、2回に右翼へ先制の適時三塁打。翌19日の楽天戦では5回に中堅へ同点の適時三塁打。さらに20日には4回にバットを折りながらも右翼線へ同点の適時三塁打。3試合連続三塁打のパ・リーグタイ記録(リーグ6人目)を達成した。

 21日の試合では三塁打は出ず、長嶋茂雄(巨人)の持つ4試合連続三塁打のプロ野球記録に並ぶことはできなかったものの、鈴木は「三塁打は狙って打てるものではないですから」とさっぱりした様子。「3試合続いただけでも奇跡。タイ記録でも(プロ野球史に)名前が残るので、良かったです」と笑顔を見せた。

 前述したとおり、この日の試合でも4試合連続となる適時打を放ち、チームの勝利に貢献。規定打席には達していないが、打率を4割4厘とした。
 好調の要因は? と聞くと、鈴木は淡々と答えた。
「途中出場している頃から、体のコンディションも気持ちの面も良い状態だった。いざスタメンで出ても、準備ができていたので、慌てずにいつも通りできていますね」

 そして、自身とともに好調なチームについて聞かれると、大きくうなずいてこう返した。
「打ち勝つ試合があったり、守り勝つ試合があったりで、チームはすごく良い雰囲気だと思います。そんな中でスタメンで出ているというのは、すごくうれしいこと。このまま続けていければいいですね」

 開幕前、指揮官はこんな話をしていた。

「最後の最後まで粘りのあるチームにしたい。たとえ負けていても、試合の最後まで『何かやってくれそうだ』と思ってもらい、席を立たないで見てもらえる試合をしていきたい」

 開幕から20試合を終えた今、まさにそんな戦いが続いている。日替わりヒーローが生まれ、全員野球で好調の千葉ロッテ。この勢いのまま、頂点まで翔けのぼっていく。

<了>
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント