WBC日本代表を支える“準・侍ジャパン”

スポーツカルチャー研究所

“縦割れ組織”の弱点を個人トレーナーが中和

 WBCのような短期戦では、チームがひとつにまとまる重要性をよく耳にする。しかし今大会の侍ジャパンには、前回までのイチローのような強烈なリーダーシップを取れる選手が不在だ。キャプテン阿部慎之助の活躍ぶりには頭が下がるが、巨人の若手選手たちには遠慮なくモノを申しているものの、他球団の選手たちにはどこか遠慮がちなコミュニケーションが目立つ。

 そんな侍ジャパンが内包する“縦割れ組織”の弱点を、選手個々が契約する個人トレーナーたちが上手に中和させているのだ。3番の重責を担う内川聖一はフィジカル・メンタルの両トレーナーと一緒にアメリカ入り。大会を通した安定したパフォーマンスを陰から支えている。前田健太、今村猛の2投手を侍ジャパンに送りだした広島カープは、代表チームの選抜トレーナーとは別に、球団トレーナーを1名“マエケン・今村トレーナー”として侍ジャパンに完全帯同させている。

その道の達人すら感じるプレッシャー

 大会中、侍ジャパンの打撃練習に毎日何百球とボールを投げる打撃投手の渡辺伸彦(阪神タイガース)は、冗談交じりにこう言った。
「このメンバーに投げていると(プレッシャーで)イップスになっちゃうよ」
 その道の達人ですら、ヒシヒシと重圧を感じる侍打線。そんな侍戦士たちがプレッシャーを背負い込んでいないハズがない。

 つかの間のアリゾナ滞在中、28名の侍戦士たちが、抜けるような青空の下、心身共にリフレッシュしてサンフランシスコに乗り込んでくることを、願わずにはいられない。

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