ジョーンズHCが語る日本ラグビーの未来=“ジャパンウェイ”で世界に衝撃を

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

“ジャパンウェイ”というスタイルの確立を

日本独自のスタイルを築くことが必要だと語るジョーンズHC 【スポーツナビ】

 ストレングスとセットプレーを強化することによって、日本が大舞台で勝つことにつながります。ただ、トップレベルのチームに勝つには、他国との違いを見出さないといけません。日本はここの勝負では絶対に負けない。そういう強みが必要です。強みを持つことに対して、二つのことを目指していきます。

1.世界一のアタッキングチームになること

四つの基本となる重要なポイント
・シェイプ(連動した攻撃で相手守備網を崩す)
・セットプレーとアタックの相互関係
・スマートラグビー(賢いプレー)
・リロード(素早く立ち上がり、次のプレーに移ること)

これらを意識して世界一のアタッキングチームとなることがほかの国との違いになってきます。

2.世界一スモールラグビーに秀でたチームになること

 先日、日本を代表するコーチや元選手に会いました。野球のワールド・ベースボール・クラシックで日本を世界一に導いた、巨人の原辰徳監督は、スモールベースボールを掲げました。世界一になったチームでは、バントや走塁などの細かい野球で日本らしい戦いを徹底しました。

 また、サッカー日本女子代表の佐々木則夫監督にも話を聞きました。なでしこジャパンは、真っ向から力勝負をしてもほかの国には勝てない。そこでチーム全体が連動し、細かなパスワークを生かして世界の頂点に立ちました。

 元UFCの有名なファイターだった高阪剛氏(※高ははしご高)をトレーニングに招きました。高阪氏は100キロほどの体重で、自分よりも30キロも40キロも多い相手と戦ってきました。そのスキルを学んだのです。高阪さんは“TK”というニックネームで呼ばれていますが、わたしもスモールラグビーを総称してTKスキルと呼んでいます。

 以上のようにアタッキングスキル、TKスキルを上げていけば、15年に日本は世界のトップ10入りをすることができると考えています。

 15年が終わったときに日本が何を成し遂げているでしょうか。いつか日本を去るとき、日本が世界から尊敬される国になっていることを望みます。尊敬を得るには“ジャパンウェイ”という自分たちのスタイルを確立することが必要です。ニュージーランドやオーストラリアをコピーするのではありません。

 それを実現するためには、やり方を変えなければなりません。それには勇気がいります。勇気を持つためには信念が必要です。自分たちのプレーを信じることが必要です。「can do」の精神を植えつけなければなりません。1つだけ保証します。本当に素晴らしいラグビーを披露することです。15年には世界から敬意を払われるチームに日本をしていきたいと思います。

23年であれば日本のトップ4は可能

 以下は質疑応答の一部。

――代表選手の外国人と日本人の割合はどうするのでしょうか?

 本当に良い日本人選手や本当に良い外国人の選手であったら使っていきます。ただ、ここで重要なのは、チームのカルチャーに合っているかということです。勇気を持っていて、規律があって、日本という国に忠誠心を持っていること、そしてアタッキングラグビーができる人というのが条件で、日本のラグビーを表現できる人が必要です。

――トップ4を目指すことは非現実的でしょうか? サッカー日本代表は10年のW杯でベスト4を目標に掲げ、結果を出しました

 非現実的です(笑)。23年であれば現実的です。ラグビーはフィジカルなゲーム。フィジカル面で相手に打ち勝つことができなければ、試合に勝てません。例えば日本がトップ10に入るためには、今あるジュニアジャパンのチームが全員40パーセントほど強くならなければいけません。日本ラグビーにおけるすべての状況が変化しない限りは、夢で終わってしまいます。トップ10に入ることさえ、とてつもない偉業だと思います。密度の高いプランが必要です。

――サントリーはジョーンズHCがいなくなった後も強さを維持しています。どのようにサントリーに勝てる文化を植えつけたのでしょうか?

 素晴らしいチームというのは、まずは目的が明確です。その一員でありたいとみんなが思うのです。自分のやるラグビーに信念を持たせることです。

――サントリーのスタイルを日本代表でも構想していると考えてもいいのですか?

 日本代表は、サントリーよりももっと良いプレーをしますよ(笑)。似通ったところはありますが、代表にはもっと総合力が求められます。国際試合を戦っているのですから。FWであろうが、パスの能力も必要となってくると思います。

エディー・ジョーンズ氏に聞く「理想の2019年W杯とは」

「世界のスポーツイベントの第3位がラグビーのW杯です。素晴らしい文化の融合があります。W杯が成功するには、開催国が観客の心をつかむ必要があります。日本にそれを置き換えると、ファンの方々が雰囲気を作り上げ、自分が試合会場にいることを楽しめる環になることがベストだと思います。日本には必ず「ジャパンウェイ」を見せてもらいたいと思います。アタッキングラグビーで、ボールを動かし、素晴らしいプレーを見せてもらいたいです」

<了>

協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会

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