進化示した木崎、次世代エースへ名乗り=名古屋に見た日本女子マラソンの光明
本当の日本のエースになるために
野口(右)は復活の走りで3位に入り、木崎とともに表彰台に上った 【写真は共同】
今回の木崎の走りを見る限りは、ロンドン五輪から半年強での進化は認めるべきだ。これまで2時間26分32秒だった自己記録を、約3分縮めたのは評価できる。
それでも、これから世界と戦うとなれば、もうひと皮剥けなければならないだろう。そのひとつは、かつての日本女子選手が常識と考えていた、5キロ16分40秒くらいのペースにも恐怖を感じることなく挑戦できるまでになることだ。振り返れば、99年の東京国際女子マラソンで優勝した山口衛里は、最初の5キロを16分24秒で入り、20キロまでは16分33秒以内のラップを刻んで2時間22分12秒をマークした。山口の1万メートルの自己ベストが32分台だったことを考えれば、自己ベストが31分38秒71の木崎が同様のレース運びをすることは十分過ぎるほど可能だ。
木崎がそんなレースできるようになってさらなる自信を持つためにも、海外のマラソンで2時間20分突破を狙うようなペースで入るレースを経験することも必要だろう。そういうことができてこそ、本当の日本のエースとなれるはずだし、誰もがそれを待ち望んでいることだ。11年の横浜国際女子マラソンに続いて勝利をあげた木崎だからこそ、次への挑戦を期待したくなるのだ。
野口が好走 日本女子マラソン復活に期待
そして野口も「40キロ走は足りませんでしたが、大会直前は10キロや20キロのハイペースでも、練習は全盛時と同じようにできていました。それで自信を持って強気な走りができました」と言うように、思い切り挑戦できたことは大きい。
条件は違うとはいえ、記録的にも大阪国際女子マラソンで日本人トップになった福士加代子(ワコール)の記録を16秒上回り、世界選手権代表も有力になった。「もう一度日の丸をつけて走るのが目標でした」という彼女は、それを実現することでまた新たな力を得て、完全復活への道を歩みだせるはずだ。
木崎に加えて復活した野口が今後、ほかの日本選手の大きな刺激になるような走りをすることこそが、日本女子マラソン復活への足掛かりになるはずだし、そうなることを願いたいというのが正直な気持ちである。