どん底に落ちた松坂大輔 復活の戦いは長く、厳しく
復活にかける松坂大輔、ミラクルストーリーは始まったばかりだ 【Getty Images】
日本時間3月8日にはアメリカ代表が出陣し、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)も少しずつ盛り上がりを見せて来るだろう。メジャーの春季キャンプもたけなわで、アリゾナからは“ダルビッシュ有がレンジャーズの開幕投手候補になっている”といった景気の良い報道も聴こえて来ている。
しかし、そんな華やかな話題が飛び交う中で、ほとんど忘れかけられているように感じられる日本人投手がいる。2006、09年は日本代表の大黒柱としてWBCのマウンドに立ち、かつてはダルビッシュのように所属するレッドソックスでも主戦扱いされていた男――。そう、松坂大輔である。
キャンプ地の評判は必ずしも芳しいものではない
レッドソックスでの6年間で、松坂は結局は50勝37敗、防御率4.52という見栄えのしない数字で終わった。特に2008年以降の17勝22敗という成績は、獲得に総額1億ドル以上(ポスティングに5100万ドル、6年契約5200万ドル)が費やされた投手としては到底許容できるものではあるまい。
そして、新たにインディアンスのユニフォームを来て臨んだ今春も、キャンプ地のアリゾナから届いて来る評判は今のところ必ずしも芳しいものではない。プレシーズン戦では3戦に投げて防御率2.57と数字的には悪くないが、内容的にはもう1つという。
「もしも松坂大輔がロースターに残ったらショックだ。速球の球速は80マイル台半ばで、腕は去年の手術から回復していない。昨季はボストンで1勝8敗、防御率8.28に終わり、今季の契約はチームに残った場合にだけ年俸が支払われるマイナー契約に過ぎない」
クリーブランド・プレーン・ディーラー紙のテリー・プルート記者は3月3日付けでそう記述。また、同紙のバド・ショウ記者も「過去にかけた身体への負担を考えれば、終焉が迫っていても驚くべきではない」と辛口だ。
プルート記者が記した通り、今季の契約はメジャー入りした場合にだけ年俸150万ドル(出来高を含めて最高で400万ドルに成り得る)が保証されるマイナー契約。先発ローテーション入りを果たせず、開幕をマイナーで迎えることになってもまったく不思議はないという厳しい立場である。