マエケンに課題、スライダーがまだ甘い=前田幸長氏が解説

構成:スポーツナビ

打線はもう少し工夫をしないと

 一方の打線ですが、きょうはちょっと打順を入れ替えたり、選手の入れ替えもありましたが、もう少しつながりの形がほしい。「打てそうで打てないで」は困る。相手投手を打てそうだったら打たなきゃいけない。もちろん打てない日もあると言われますが、ペナントレースとは違ってこれから一発勝負になってきますので、もう少し工夫をしないといけないですね。

 おそらく今回の相手が格下の中国ということもあって、チームは点を簡単に取れると思ってゲームに入ったと思うんです。それが4回までで1点しか取れなかったのは計算外もいいところ。そのあたりは、いつでも打てると思ってしまった結果だと思うんです。
 これはまずいぞというところで、つないだり、盗塁などを絡めたり、相手のミスを突いたりと、隙をついた形でビッグイニングをつくりましたが、本来ならばもう少し早いイニングで出なければいけないと思いますね。1つの隙を見せると、本当にズルズルといってしまうのが国際試合の怖さであって、レギュラーシーズンとは違うところですから。

中田翔は収穫、次戦以降も期待できる

 阿部、稲葉の左の主砲クラスがノーヒットでしたが、短期決戦はレギュラーシーズンとは違って、見慣れていない投手がほとんどで、実際に打席に入らないとわからないことが多い。これが2度、3度と対戦することがあれば復調も可能ですが、1回勝負しか対戦しないピッチャーが相手だと、しばらく苦戦しそうだなと思います。きっかけがあればいいんですが、毎回対戦するピッチャーが違いますし、レギュラーシーズンと違って自分の状態を試行錯誤しながらというわけではないので、ちょっと苦しむかなという心配があります。

 一方、中田翔選手が2本ヒットを打って、内川選手もヒットが続いているということは非常にプラスになると思いますね。中田選手に期待する部分は、もちろん一発もあるんですが、「意外性」というところになると思います。きょうの試合もなかなか打てない雰囲気が出たところで中田選手が打ってくれたので、チームにいい薬を与えてくれましたね。また、中田選手は「オレに任せろよ」というハートを持ってる選手ですから、次戦からも期待できそうですね。

キューバ戦は日本らしい緻密な野球で勝負

 次戦のキューバ戦は力と力の勝負をしてはなかなか勝てる相手ではないので、こういうときこそ日本らしい野球をしてほしい。ピッチャーだったら、丁寧にボール球をうまく振らせる投球。より緻密なリード、的を絞らせない、内・外に投げ分ける、ボール球をうまく使う投球、そういう投球をしないと抑えられないでしょうね。
 キーになる選手は、やはり中心選手が打たないといけないので、速い球、重い球に負けないスイングの速さを持ったバッターといえば阿部選手、中田選手。日本を代表する左右のハードヒッターに頑張ってもらいたいですね。

<了>
■前田幸長
独特のナックルを操り、ロッテでは先発、中日・巨人では左の中継ぎとして活躍。現在は野球解説のほか、日本経済大学で准教授を務める

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