アヤックスが目指す伝説の再現=ベスト32で見せた“ELへの本気”
大観衆で埋まったアムステルダム・アレーナ
欧州リーグ第1戦を先勝し、喜ぶアヤックスのイレブン 【Getty Images】
選手起用に関しても、フランク・デ・ブール監督は負傷明けのシグトルソンとクエンカを抜擢(ばってき)し、チームが本気で戦う姿勢を見せた。最近、復帰したばかりのこの2人がステアウア・ブカレスト相手に先発しても、65分ほどの出場時間に限定されている上、週末のRKC戦出場は不可能になる。それでも指揮官は「リスクを冒しても2人を先発させたい」とピッチに送り出した。
この大会のグループリーグでは、オランダのトップクラブ、PSVとトゥエンテがメンバーを温存して戦い、ベスト32進出に失敗。両チームのアドフォカート監督とマクラーレン監督は大きな批判を浴びた。
アヤックスにとっては、欧州チャンピオンズリーグ(CL)の“死の組”でマンチェスター・シティと競り合い、苦労の末に勝ち取ったELの決勝トーナメント進出だった(※CLのグループリーグ3位チームはELの決勝トーナメント出場権を得る)。しかも、今大会の決勝戦は地元アムステルダム・アレーナで開催される。11年前、ライバルのフェイエノールトがレンジャーズ、PSV、インテルという強豪を破って、地元ロッテルダムでの決勝戦でボルシア・ドルトムント相手に優勝を決めたのは、オランダでは伝説となっている。アヤックスが今回のELで描くのも、フェイエノールトが果たした成功の歴史と同じものだ。
地元開催の決勝戦進出を夢見るアヤックス
ルーマニアの名門、ステアウア・ブカレストもリターンマッチを見越して、最後までアウエーでのゴールを目指し続けた。「さすがはルーマニアリーグで、2位に勝ち点10差をつけて首位を走っているチームだけあった。ステアウア・ブカレストはとても良いチームだった」(試合後のデ・ブール監督)
おそらくイングランドの記者からか、「ブカレストのナショナル・アレーナとロンドンのスタンフォード・ブリッジではどちらがやりにくそう?」という質問が試合後にアヤックスの指揮官に飛んだ。
「まずはブカレスト。彼らのサポーターは熱狂的で、チームをフルに応援する」とデ・ブール監督は答えをはぐらかせた。ブカレストでステアウアは猛攻を仕掛けてくるだろう。それをしのいだ先にスパルタ・プラハとチェルシーの勝者との戦いがある。
オランダのチームはゼロトップを採用することによって、イングランドのセンターバックを無力化することに成功し、試合を優位に進めることがある。しかもアヤックスはELに対して本気で取り組んでいる。ELは日程的にとてもタフな大会で、しかも金銭的な見返りは少ないが、彼らは決勝戦のアムステルダム・アレーナの舞台を夢見てチャレンジしている。
<了>
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