ザック監督「大津は以前から呼びたかった」=ラトビア戦メンバー発表会見

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大津のパーソナリティー、思い切りの良さに期待

ザッケローニ監督(右)は初招集の大津について「可能性があれば使いたい」と起用を示唆した 【スポーツナビ】

――大津の何に期待するのかと、起用法について?

ザッケローニ監督 今回の試合は海外組を多く呼ぶのにいい機会だと思っていた。大津に関してはロンドン五輪での素晴らしい活躍があったし、クオリティー的にも右でも、左でも、トップ下でも時にセンターFWでもプレーできるユーティリティー性がある。日数は少ないが、手元に置いて実際に見てみたいと思った。以前も呼びたいと思ったことはあるが、以前はチームで試合に出ていない状況だった。現時点では、コンスタントに試合に出ているので招集に至った。あとは彼がピッチで見せるパーソナリティーの良さ、思い切りの良さというところに期待している。

――日本の若手選手の多くが、活躍の場をヨーロッパに求めているが、そのことが代表チームにどのような影響を与えているのか?

ザッケローニ監督 まずはヨーロッパからだが、これだけ日本人が注目されているのは今までなかったこと。日本サッカー界が誇るべきことではないかと思う。こういった現象が起きているのは、J1、J2、または育成年代の監督がしっかりと指導してきた成果ではないか。若いタレントが海外に流出するということで、短期間で見ればJリーグの魅力やクオリティーがもしかして一時的に落ちることもあるかもしれないが、長い目で見ればその分、(国内いる)若い選手にたくさんチャンスができるということで、活性化していくのではないか。

 若手にチャンスができ、Jリーグで活躍する、あるいは海外に飛び出していくということは日本サッカー界にとって大変良いことだと思う。イタリアのセリエAでもケースは違うが似たようなことが起こっていて、昔であれば世界最高峰リーグと呼ばれていて、世界のタレントが集まってくる時代があった。しかし、現在はイタリアにいい外国人が集まってこない。その中でイタリア人の若手にチャンスが回ってきていて、例えばミランのエル・シャーラウィなどにしても、数年前であったらチャンスが回ってこなかったところを、そういった状況の中でチャンスを得ることができた。

――Jリーグ勢が少ないのは、2月という時期を考えてのことか?

ザッケローニ監督 その通りで、インシーズンの選手、つまり海外組の選手を多く呼びたかったということ。先ほども言ったが、駒野、中村憲、栗原勇蔵(横浜F・マリノス)、岩政大樹(鹿島アントラーズ)なども代表チームの選手だと思ってもらいたいし、今回はそういう経緯で招集に至らなかった。やはり試合勘のある選手を重点的に呼びたかった。

――香川が30日の試合でアシストを記録したが、名門クラブでどのようなものを得てほしいと思っているのか?

ザッケローニ監督 まずはすべての選手に言えることだが、順応するためにそれ相応の時間が必要だし、例えばプラティニ(現・欧州サッカー連盟会長)が現役のころ、イタリアのユベントスに移籍した際には、順応するまで7カ月を要した。なので、それを苦労と呼ぶか、直近の試合を見てもチームにどんどん順応してきているという印象を持っているし、ラトビア戦が終わった後に、ヨーロッパに視察に行こうと思っているので、そこでリーグ戦や欧州チャンピオンズリーグを直接見に行こうと考えている。マンチェスター・ユナイテッドのようなチームに順応していくことはなかなか簡単なことではないと思うし、短期間で順応するのは難しいと思う。繰り返しになるが、ここ最近の試合を見る限りはかなりチームになじんできていると思う。

遠藤と今野は代表の中心。常に来てもらいたい

――Jリーグを制した広島から選ばれたのは水本だけだが、広島勢の評価は?

ザッケローニ監督 広島については素晴らしいチームだと思っている。わたしは日本に来て3年目だが、(リーグ優勝した)昨シーズンのみならず、優勝しなかったシーズンでもいい戦いを見せていた。チームとしての組織がしっかりしており、選手のクオリティーも高い。これまでも広島からは、森脇(良太/現・浦和)、李(忠成/現・サウサンプトン)、佐藤(寿人)、西川(周作)といった選手を呼んでいる。ラトビア戦に関してはコンディションが整っている選手を重点的に呼んだ。そうでなければ、国内組でも若い選手を何人か見てみたかったのだが、そうした理由から(招集は)見送った。国内組の基準に関しては、(所属クラブが)いつからキャンプをスタートさせているか、何回トレーニングをこなしているか、などを考慮した。

――これまで初招集の選手は、どちらかというと勉強のためというニュアンスが強かった。今回の大津についてはどうか?

ザッケローニ監督 大津については可能性があれば使いたい。ピッチでも見てみたいが、23人のメンバーのコンディションのバランスを考慮しながら冷静に判断したい。間違っていなければ、大津は試合前日入りと聞いているので、そういったところは考慮する。

――遠藤と今野が所属するG大阪はJ2だが、次のヨルダン戦やコンフェデレーションズカップへの影響についてどう考えるか? また、今回のラトビア戦で彼らに要求することは何か?(元川悦子/フリーランス)

ザッケローニ監督 2年前も今野がFC東京で同じような経験をしているが、その意味では心配していない。あのときも今野は心身ともに素晴らしいコンディションで代表に合流していたので、今季に関しても心配していない。この2人は代表の常連であり中心選手なので、常に来てもらいたいとは思っている。

――招集メンバーのうちMFは4人だが、ボランチはこの4人で十分ということか?

ザッケローニ監督 そこのポジションは2人だが、4人呼んでいるので十分だと思っている。他のメンバーもそこはできるので大きな心配はしていない。このチームの強みとして、ユーティリティー性のあるプレーヤーが多いので問題はないと思う。

――昨年2月のアイスランド戦では、磯村亮太(名古屋グランパス)や久保裕也(京都サンガF.C.)や柴崎岳(鹿島)といった若手を呼んでいる。今回は日数でずれがあるが、初招集が大津だけなのはなぜか?

ザッケローニ監督 昨年は2試合(アイスランド戦とウズベキスタン戦)あったが、今年は1試合のみということで日数も少ない。グループを固めてチームとしてのコンセプトの再共有といったものを短期間でしたいという思いが強かった。各クラブで各々のポジションで慣れていることをゼロにして、代表のやり方でやっていく必要がある。しかも数カ月前のやり方なので思い出すのは簡単ではない。

 幸いにも若いタレントは国内にまだまだいると思っているし、Jで成長しているという印象もある。昨シーズンでいえば、扇原貴宏、山口螢(共にセレッソ大阪)、鈴木大輔(柏レイソル)、柴崎といった名前が挙げられるが、彼らは代表候補だと思っているし、今後もどんどん成長してほしい。すべての選手の名前は挙げないが、順調に育ってきているし、Jでも活躍する選手は何人もいる。

原委員長  付け加えますけど、昨年の2月は五輪の最終予選がありました。アウエーのシリア戦もあったし、2月下旬にはマレーシア戦もあった。今言った名前の人たち、そしてここ(リスト)にある権田とか酒井宏とかは五輪の方に呼んでいたので、マレーシア戦もありましたし、コーチ陣や大津も五輪もいたので、事情としてそういうことがありました。

――今の日本社会で指導者の暴力行為が問題になっているが、指導者として暴力行為についてどう考えるか?

ザッケローニ監督 今朝の新聞を見て情報は入っているが、大変驚くとともに残念に思っている。これはイタリアでは起こりにくいことだが、指導者の重要な役割はアスリートを成長させることだ。そのために暴力は必ずしも必要ではない。時にわれわれ監督は怒るし、感情をあらわにすることがあるが、そのことと体罰を与えることとは直結はしない。当然、新聞での情報しか知らないので多くを語ることはできないが、本当にレアなケースが表に出てきたと思いたいし、今後そうしたことが起こらないように祈りたい。

<了>

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