マレー、フェデラーとの4時間の死闘を制す=全豪テニス第12日
フェデラーとの因縁の対決を制し、決勝進出を決めたマレー 【Photo:Getty Images】
また女子ダブルス決勝は昨年準優勝の第1シード、サラ・エラーニ、ロベルタ・ビンチ組(イタリア)がアシュリー・バーティ、ケーシー・デラクア組(オーストラリア)を6−2、3−6、6−2で下して初優勝。昨年の全仏、全米に続く四大大会制覇を果たした。
フェデラーとマレーの因縁の対決が実現
24日に前回優勝のジョコビッチが3年連続の決勝進出を果たし、この日はフェデラーとマレーの因縁の顔合わせが実現した。因縁というのは、対戦成績ではマレーが10勝9敗とリードしているものの、グランドスラムではいずれも決勝で3戦3敗。昨年、ウィンブルドンで開催されたロンドン五輪でフェデラーを倒して金メダルを獲得し、全米オープンでジョコビッチを倒して念願の初優勝を飾ったマレーだが、グランドスラムで「球聖」を倒すことは最高の目標でもあった。
第1セットは両者にとって重要なカギとなった。31歳のフェデラーが5セットを避けたいだけでなく、決勝に進んだジョコビッチはフェレールを1時間29分で片つけ、2日の休養時間がある。できればエネルギーを使いたくない……因縁と思惑が絡み、第1セットは激しい打ち合いとなる。マレーは立ち上がりに攻め込んだ。第1ゲームで28本のラリーを制し、第3ゲームには22本のラリーを奪い、まずは先手をとった。
特にサーブが鋭く、第1セットは平均時速200キロのファーストサーブを72パーセントで押し込んで83パーセントのポイント獲得率。5−4からのサーブも215キロ、214キロしっかり決めた。しかし、フェデラーもこの展開はある程度覚悟していたのだろう。若者の俊足と多彩なショットメークに辛抱強く付き合い、わずかな隙を見ては攻撃に転じて脅かした。
グランドスラムで初めてフェデラー下したマレー
フェデラーはここで長丁場になると踏んだのだろう。ややトーンダウンしてマレーが再びセット2−1とリードした第4セット、フェデラーがもう一度ギアを上げ、先にブレーク。マレーが第7ゲームに追いつけば、第8ゲームにフェデラーも攻め込み、20本のラリーをパッシングショットで決着したポイントを足掛かりに、ブレークポイントを握った。マレーがそれを凌いで逃げようとすれば、フェデラーが3本のゲームポイントを許さない激しい攻防……会場は息をのみ、先走った歓声をあげる。まさに興奮の坩堝(るつぼ)だ。
マレーがここをキープできたのは大きかったが、フェデラーの闘志は素晴らしいの一言だ。第10ゲーム、第11ゲームを連続ラブゲームでリードされても、第12ゲームに打ち合いに持ち込んで土壇場のブレークバック。しかも2度目のタイブレークは2−2から連続5ポイントという集中力だった。第4セットだけで1時間11分。フェデラーの疲れかマレーの気力か。ファイナルセットはやや一方的に流れた。終わってみれば、時計はちょうど4時間の試合時間を示していた。グランドスラムで初めてフェデラーを倒した自信を胸に、昨年の全米のリベンジを狙うジョコビッチと激突する。
<了>
文・武田薫
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