マレー、フェデラーとの4時間の死闘を制す=全豪テニス第12日

WOWOW

フェデラーとの因縁の対決を制し、決勝進出を決めたマレー 【Photo:Getty Images】

 オーストラリア・メルボルンで開催中の全豪オープンテニス第12日が25日に行われ、男子シングルスはアンディ・マレー(スコットランド)がロジャー・フェデラー(スイス)を6−4、6−7、6−3、6−7、6−2のフルセットの末に振り切った。27日の決勝では、3連覇を目指すノバック・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。
 また女子ダブルス決勝は昨年準優勝の第1シード、サラ・エラーニ、ロベルタ・ビンチ組(イタリア)がアシュリー・バーティ、ケーシー・デラクア組(オーストラリア)を6−2、3−6、6−2で下して初優勝。昨年の全仏、全米に続く四大大会制覇を果たした。

フェデラーとマレーの因縁の対決が実現

 今大会は、男子のトップ4シードがそのままベスト4に勝ち残った。全豪では2年連続、グランドスラムがオープン化してからは通算15度目。ラファエル・ナダル(スペイン)の欠場に変わって第4シードに入ったダビド・フェレール(スペイン)を除き、ジョコビッチ、フェデラー、マレーの3人が準決勝に顔をそろえたのは4度目だ――男子テニス界のトップの牙城がいかに堅固なものかを物語っている。

 24日に前回優勝のジョコビッチが3年連続の決勝進出を果たし、この日はフェデラーとマレーの因縁の顔合わせが実現した。因縁というのは、対戦成績ではマレーが10勝9敗とリードしているものの、グランドスラムではいずれも決勝で3戦3敗。昨年、ウィンブルドンで開催されたロンドン五輪でフェデラーを倒して金メダルを獲得し、全米オープンでジョコビッチを倒して念願の初優勝を飾ったマレーだが、グランドスラムで「球聖」を倒すことは最高の目標でもあった。

 第1セットは両者にとって重要なカギとなった。31歳のフェデラーが5セットを避けたいだけでなく、決勝に進んだジョコビッチはフェレールを1時間29分で片つけ、2日の休養時間がある。できればエネルギーを使いたくない……因縁と思惑が絡み、第1セットは激しい打ち合いとなる。マレーは立ち上がりに攻め込んだ。第1ゲームで28本のラリーを制し、第3ゲームには22本のラリーを奪い、まずは先手をとった。

 特にサーブが鋭く、第1セットは平均時速200キロのファーストサーブを72パーセントで押し込んで83パーセントのポイント獲得率。5−4からのサーブも215キロ、214キロしっかり決めた。しかし、フェデラーもこの展開はある程度覚悟していたのだろう。若者の俊足と多彩なショットメークに辛抱強く付き合い、わずかな隙を見ては攻撃に転じて脅かした。

グランドスラムで初めてフェデラー下したマレー

 第2セットは、両者ともブレークポイントを与えず、ポイント数も40でまったく同じという拮抗(きっこう)した内容でタイブレークに入った。マレーには一気に突き放すチャンスがあった。フェデラーがミニブレークを1本リードした4−3からブレークバック。5−5となったサーブでネットチャンスをつかんだマレーだったが、中途半端なジャンプショットになったところを切り返された。

 フェデラーはここで長丁場になると踏んだのだろう。ややトーンダウンしてマレーが再びセット2−1とリードした第4セット、フェデラーがもう一度ギアを上げ、先にブレーク。マレーが第7ゲームに追いつけば、第8ゲームにフェデラーも攻め込み、20本のラリーをパッシングショットで決着したポイントを足掛かりに、ブレークポイントを握った。マレーがそれを凌いで逃げようとすれば、フェデラーが3本のゲームポイントを許さない激しい攻防……会場は息をのみ、先走った歓声をあげる。まさに興奮の坩堝(るつぼ)だ。

 マレーがここをキープできたのは大きかったが、フェデラーの闘志は素晴らしいの一言だ。第10ゲーム、第11ゲームを連続ラブゲームでリードされても、第12ゲームに打ち合いに持ち込んで土壇場のブレークバック。しかも2度目のタイブレークは2−2から連続5ポイントという集中力だった。第4セットだけで1時間11分。フェデラーの疲れかマレーの気力か。ファイナルセットはやや一方的に流れた。終わってみれば、時計はちょうど4時間の試合時間を示していた。グランドスラムで初めてフェデラーを倒した自信を胸に、昨年の全米のリベンジを狙うジョコビッチと激突する。

<了>


文・武田薫
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント