日本バレー界の育成をリードする堺ブレイザーズ=ジュニアからの選手輩出で近づいた理想への道
ジュニアチームが輩出した初のVリーガー
堺ブレイザーズの酒井新悟監督は言う。
「セッターとしてはまだまだ鍛えなければいけない部分がありますが、そのほかのサーブ、ブロック、ディフェンスなどはトップリーグで戦えるレベルだと思って獲得しました。ジュニアチームからシニアチームへ選手を送り出すことがわれわれのクラブのひとつの目標でしたから、そういう意味では彼の入団は非常にうれしいですね」
堺ジュニアブレイザーズが発足したのは01年。新日鉄バレーボール部が地域密着型スポーツクラブ、堺ブレイザーズとして活動を始めた翌年だった。今年、発足から11年目を迎えるチームには現在、中学1年から3年までの男子部員20名が所属し、新日鉄住金堺製鉄所体育館にて週4回、練習に励んでいる。
ジュニアブレイザーズ監督の西野祐司氏は発足当時をこう振り返る。
「“ゆくゆくはジュニアチームを作って青少年の育成に貢献したい”という理念を持ってブレイザーズスポーツクラブがスタートしましたが、当時ジュニアチームの設立に関してはまだ少し先の話という感覚でした。ところが地元、堺市の中学校の男子バレー部がどんどんなくなっている。小学生のときにクラブチームでバレーをしていた子どもたちが、中学では部がないためにバレーを続けられないという話を聞いて、それは何とかしなければと急きょ、発足に至った背景があります」
折しも当時は男子バレーがアトランタ、シドニーと2大会連続で五輪出場を逃し、低迷していた時代だ。少子化の影響もあり「バレーボールをしたい」という男子生徒が減るのは無理もなかった。
ジュニアブレイザーズ入団が転機となった佐川
「小学校のときに所属していたチームの監督から勧められて、ジュニアブレイザーズのようなチームがあることを知りました。もしジュニアブレイザーズがなかったら? 住民票を移して、ほかの土地に行ってでもバレーは続けようと思っていました。ただ、ブレイザーズに入って良かったと思うのは、同じコートのすぐ横でプロの選手が練習しているという環境ですね。当時のセッター市橋祐之さん(現姓:山口。全日本女子、デンソーコーチ)のファンだったんですけど、憧れの人に直接教えてもらえてすごくうれしかったことを覚えています。それに当時、ジュニアの監督をしていた酒井さん(現ブレイザーズ監督)に勧められてセッターに挑戦したので、自分にとって転機になったと思います」
当時、ジュニアブレイザーズの監督を務めていた酒井は佐川についてこう話す。
「ひょろひょろっとしていて、背もあまり高くありませんでした。ただ、ハンドリングが抜群に良かった。そこでセッターへの転向を勧めました」
高校、大学時代はツーセッター制でアタッカーでも活躍したが、ブレイザーズへはセッター登録での入団となる。現在、堺のセッターは今村駿と木場田和希の2名のみ。内定選手ながら佐川には即戦力としての期待がかかっている。