岩倉三恵、失望を経て叶えた海外移籍=スペイン女子サッカー界で活躍する日本人
サッカー以外に持っていた武器
持ち前の人懐っこさを武器にチームメートとの仲を深め、スペインに順応している岩倉 【芳川美里】
特別大きなコネもなく、岩倉は海外移籍を実現させた。だが、彼女にはサッカー以外にも一つの武器があった。それは“人懐っこさ”だ。たどたどしいスペイン語を駆使してチームメートに積極的に話しかける日本人。「ただ、遊ばれているだけですよ。ロッカールームのおもちゃです。だけど、常に私のことを気にかけてくれて、いつもチームの中に巻き込んでくれるので、感謝の言葉しかないです」と話す。多くの先生に囲まれた生徒は、海外生活で必要な現地の言葉を順調に学んでいる。もちろん、最初に覚える汚い言葉に関しても……。
そんなチームメートの印象は「よく寝る、遊ぶ、飲む、しゃべる、踊る、です(笑)。とにかく明るい。それに良い意味でも悪い意味でも切り替えが早い。ちょっと落ち込んでいたかと思うとそれを引きずることがない。そういう部分に救われることが多いですね」と本場のラテンの力を日々の生活の中からも感じている。
プロとしてプレーすることに意味がある
16チームで争われるリーグ戦、若いチームは11節終了時点で首位アスレティック・ビルバオと勝ち点差6の4位(バルセロナ、ラージョ・バジェカノと同勝ち点25)と滑り出しは好調だ。「若い選手が多いので好不調の波があるけど、これから強くなっていくと思います」と成長過程のチームのさらなる成長を確信している岩倉は「リーグ、コパの2冠を獲りたいですね。個人としては、そのためにどこまでやれるのか挑戦したい。わたしが活躍することによって、少しでも日本の人がスペインの女子リーグを知ってもらえたらうれしいです。なので、しっかり試合に出場し、チームの勝利のために結果を残すことが大事だと思っています」とタイトル獲得を目標と掲げた。
JFAの強化指定制度選手国から外れているスペインでは、経済的にはプレーすることだけでなく、生活することも容易ではない。だが、スペインには岩倉にとって経済的な充実以上のものがあった。
「経済的なものはあまり気にならない。多少なりともお金をいただいてプロとしてプレーすることに意味があると考えています。海外の経験で何を得るのかは終わってみないと分かりません(笑)。ただ、確実にスペインでの経験が無駄になるとは思っていません」と念願だった海外でのプレー、新しい挑戦に身を置けることの幸せを誰よりも岩倉は感じている。
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