ハミルトンがV、最終戦で年間チャンピオン決定へ、コンストラクターズタイトルはレッドブルが3連覇=F1

吉田知弘

少ないチャンスをものにしたハミルトンが今季4勝目

逆転で今季4勝目を飾ったハミルトン 【Getty Images】

 2012年のF1世界選手権第19戦米国GPが、テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで初開催され、ルイス・ハミルトン(マクラーレン)が今季4勝目を飾った。16番手スタートの小林可夢偉(ザウバー)は14位に終わった。

 今週末を通してマシンも好調だったハミルトンはスタートでマーク・ウェバー(レッドブル)にかわされるが、4周目に抜き返して2位に浮上。ここから首位を走るセバスチャン・ベッテルと、レース終盤まで続く長いトップ争いを繰り広げた。

 3年連続年間チャンピオンに王手をかけているベッテルは、ハミルトンを振り切ろうと序盤からペースを上げるが、同様にペースを上げたハミルトンを突き放すことができない。お互いに1分43秒台のペースを維持し、約1秒前後の間隔で周回を重ねた。20周目になってミディアムタイヤを使い切ったと判断したハミルトンとマクラーレンチームはいち早くタイヤ交換を敢行。これを見たレッドブル陣営も21周目にベッテルをピットインさせハードタイヤに交換させた。

 メカニックの迅速な作業にも助けられ、ベッテルはトップのままコースに復帰。ここから自己ベストタイムを連発してリードを広げていく。やや劣勢になってしまったハミルトン。いつもなら勝負を急いでしまい、ミスをして後退していくことが多いが、集中力が途切れることなく、我慢の走行を続けた。

 一時は2.5秒まで差が広がった両者だったが、ベッテルの前に周回遅れのマシンが数台現れ、その処理に手間取ってしまう。このすきにハミルトンが一気に間隔を縮めDRS(可変リアウイング)が使える1秒後方まで接近。ついに42周目の裏ストレートでDRSを使って横に並びかけ、ターン12でベッテルの攻略に成功。その後も最終ラップまで2人のデッドヒートは続いたが、ハミルトンが逃げ切ってオーティンでの初代ウィナーとなった。

 これで今季4勝目を獲得したハミルトン。初めてチャンピオンを獲得した08年は先行逃げ切りのレーススタイルで勝利を重ねたが、今年に入ってからは後方から追い上げ、ときには我慢してチャンスが来るのを待ち、逆転で勝利するレースが見られるようになった。今季のチャンピオン獲得の可能性は絶たれたが、メルセデスAMGに移籍して迎える新シーズンで、どのような走りを見せられるだろうか。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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