ハミルトンがV、最終戦で年間チャンピオン決定へ、コンストラクターズタイトルはレッドブルが3連覇=F1

吉田知弘

年間チャンピオン争いは最終戦へ持ち越し

ベッテル(青)とアロンソ(赤)の優勝争いは最終戦ブラジルGPに持ち越しとなった 【写真:ピレリ】

 注目の年間チャンピオン争いは、ベッテル(レッドブル)が2位、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が3位に入ったことで、リードは13ポイントに広がった。今回のレースでベッテルの年間チャンピオンが獲得する可能性もあったが、決着は最終戦ブラジルGPへと持ち越しとなった。

 ベッテルが10ポイントをリードして迎えた米国GP。初開催となるオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズは高低差が大きく、連続でコーナーがつながっている区間もあるなど、レッドブルのマシンが得意とするスパ・フランコルシャン(ベルギーGP)や鈴鹿サーキット(日本GP)と似たような特性を持っている。そういった相性の面もあり、予選ではベッテルが今季6回目のポールポジションを獲得。一方、アロンソは9位と苦しいスタートとなった。

 決勝での挽回を期すアロンソは、大きくポジションを上げる唯一のチャンス“スタート”にかけていた。ロメ・グロジャン(ロータス)がギアボックス交換でグリッド降格のペナルティーを受けたことにより、8番グリッドを手に入れたアロンソは、狙い通りの好スタートで一気に4位までポジションを上げることに成功。その後、ウェバーのリタイヤで3位に浮上し、トップを争うベッテルとハミルトンに追いつくことはできなかったが、3位を守りきり15ポイントを獲得した。スタートでの順位アップがベッテルの3連覇を食い止めただけではなく、最終戦での逆転チャンピオン獲得の可能性を少しでも高くした3位フィニッシュだった。

 レース後の会見でアロンソは「チャンピオン争いに生き残る事ができたのも、1周目のおかげだったと思う。スタートで4位までジャンプアップできたから、後は楽にレースを進めることができた。ポイント差は少し大きくなったけど、ベッテルが少し有利な位置にいるだけ。もちろんチャンピオンはまだあきらめていない。次のブラジルGPはベストを尽くすよ」とコメント。一方のベッテルも「ブラジルGPはわれわれにとって得意なコースで自信はある。何よりチャンピオン争いをリードしたまま最終戦に乗り込めるのは大きいね。僕たちが一番チャンピオンに近いポジションにいるよ」と、13ポイントのリードに余裕の表情を見せた。

 次回、最終戦ブラジルGPが行われるインテルラゴス・サーキットは、2000年代に入ってから数々のチャンピオン決定の舞台となってきたコース。ベッテルは何位であってもアロンソの前でチェッカーを受ければ3連覇が確定。万が一11位以下(0ポイント)でもアロンソが4位以下であればチャンピオンが決まる。一方のアロンソは3位以内が必須、仮に優勝したとしてもベッテルが5位以下でなければ逆転でチャンピオンにはなれない。

レッドブル、3年連続コンストラクターズチャンピオンに

コンストラクターズ3連覇を決めたレッドブル。中盤以降は強さが光った 【写真:ピレリ】

 ドライバーズタイトルが激化する一方で、コンストラクターズタイトルではレッドブルが最終戦を待たずに3連覇を決めた。昨年は圧倒的な強さとミスのないチームワークで序盤から独走したレッドブル。しかし今シーズンは思うように結果が残せず、前半戦をみても第4戦バーレーンGPでベッテル、第9戦イギリスGPでウェバーの2勝のみ。昨年とは一転して追いかける立場でシーズンが進んでいった。

 だが、マシンの開発が進んだ後半戦に入ると、本来の調子を取り戻した。第14戦シンガポールGPからベッテルが4連勝を飾ると、ウェバーも第16戦韓国GPで2位に入るなどチームのポイント獲得に大きく貢献した。

 残るはドライバーズタイトルのみ。3年連続となる二冠獲得のために最終戦ブラジルGPに挑む。

<了>

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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