武豊2年ぶりGI美酒、西園師「彼は競馬界の宝物」=マイルCS

スポーツナビ

武豊がサダムパテックでマイルCS初勝利、自身にとって2年ぶりのGI制覇となった 【スポーツナビ】

 JRA秋のマイル王決定戦・第29回GIマイルチャンピオンシップが18日、京都競馬場1600メートル芝で争われ、武豊騎乗の4番人気サダムパテック(牡4=栗東・西園厩舎、父フジキセキ)が優勝。インから馬群をこじ開けると、外から差してきたGI2勝馬グランプリボスの追撃を抑え、GI初優勝を達成した。やや重馬場の勝ちタイムは1分32秒9。

 サダムパテックは今回の勝利でJRA通算16戦5勝。重賞は2010年GIII東京スポーツ杯2歳S、11年GII弥生賞、12年GII京王杯SCに続き4勝目。
 騎乗した武豊はこれが2010年GIジャパンカップ(ローズキングダム)以来2年ぶりのJRA・GI制覇となり、通算66勝目。さらにマイルCSは21回目の騎乗で初勝利となり、JRA・GI完全制覇へ残るは朝日杯FSのみとなった。また、同馬を管理する西園正都調教師は10年エーシンフォワード以来のマイルCS2勝目。

 一方、クビ差の2着には内田博幸騎乗の1番人気グランプリボス(牡4=栗東・矢作厩舎)、さらに半馬身差の3着にはクリストフ・スミヨン騎乗の5番人気ドナウブルー(牝4=栗東・石坂厩舎)が入った。

ウイナーズサークルで「ユタカ」コール

レース後のウイナーズサークルでは「ユタカ」コールも沸き起こった 【スポーツナビ】

 やはりこの男がGIを勝つと、競馬場が一瞬にして華やぐ。武豊の2年ぶりのGI美酒を、スタンドのファンが拍手と歓声で祝福。いったん、審議の青ランプがともったものの、あらためて武豊サダムパテックの馬番「1」が1着で確定すると、さらにひときわ大きな拍手が沸き起こった。
「お久しぶりです。誰よりも僕が喜んでいます」
 ウイナーズサークルで笑顔がはじけた武豊。そんな天才騎手に対し、スタンドから今度は「ユタカ」コールが自然発生していた。

 レースは、同厩舎シルポートが逃げるのを見る形で中団よりやや前の位置取り。
「1番枠を引き当てた時点で想定は絞られていましたからね。スタートをまず決めたいと思っていました。1頭逃げ馬がいましたが、それ以外はそうでもない。後ろに置かれないようにと思って、ある程度、位置は決めていました」

新相棒の脚質、特徴を最大限に引き出した

テン乗りの天皇賞でつかんだサダムパテックの長所を100%引き出した騎乗だった 【スポーツナビ】

 前日の大雨の影響で馬場は渋っており、この日の京都芝は外差しが決まっていた。だが、重いウッドチップの坂路を苦にしなかった稽古の感触から「馬場はこなせるんじゃないかなと思っていました。それにせっかくの1番枠だったので生かしたかった」と、枠なりのまま内ラチ沿いぴったりの待機。さらに武豊は、テン乗りだった前走GI天皇賞・秋でつかんだサダムパテックの脚質、特徴を最大限に引き出したのだ。

「トップスピードに行くまでが早いタイプではなく、差し馬だけど最後までバテない馬。だから3コーナー下りで一気にスピードに乗せるのではなく、じわじわと行きました」
 この“バテない”特徴を生かし切り、ゴール前の叩き合いでも同期のGI2勝馬グランプリボスを競り負かしてグイッとひと伸び。“これぞ武豊!”とうならせる騎乗で、自身にとっては約2年ぶり、そして新相棒サダムパテックには7度目の挑戦にして初のGIビッグタイトルをもたらした。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント