UFCが選んだ日本最高のMMAファイター(前篇)
PRIDE王者としてUFCに乗り込んだ五味 【t.SAKUMA】
前篇はUFCが選定した、トップ10の実績を誇るファイターたち(アルファベット順)を紹介する。
Text by Thomas Gerbasi
【トップ10ファイター】※アルファベット順
卓越した技術を誇る柔道黒帯で、スタンドでの打撃交換もいとわない秋山は2009年に鳴り物入りでUFCにデビュー。アラン・ベルチャーを3つのエキサイティングなラウンドの末に下し、期待に応えてみせた。
秋山はファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞し、そして次の2試合は敗れこそしたものの、連続で同賞を受賞してみせた。
ビトー・ベウフォート戦に敗れたあと、秋山は階級をミドル級からウェルター級に落としたが、「UFC144」でジェイク・シールズに敗れてしまい、現在正念場を迎えている。
■五味隆典(神奈川)※UFC MACAO出場予定
PRIDEライト級のベルトを保持する唯一の男である五味は鉄の拳で日本のマットを席巻し、2004年から2007年の間は13勝1敗1ノーコンテストと圧倒的な戦績を誇った。
2010年にオクタゴンにデビューすると、ケニー・フローリアン、クレイ・グイダ、ネイト・ディアスを相手に敗北し、苦境を迎える。しかしその一方で、この「火の玉小僧」はタイソン・グリフィンと光岡映二を相手に印象的なKO勝利を飾っている。
11月10日のマック・ダンジグとの決戦は、日本のアイコンにとって真価を問われる一戦となりそうだ。
■日沖 発(愛知)
修斗と戦極の元王者である日沖は2007年から2011年の間に日本のマットで12勝1敗1分けと無類の強さを誇り、フェザー級屈指の実力者としてその名を轟かせた。
そして2011年10月、遂にオクタゴンに参戦し、タフなジョージ・ループを下してデビュー戦を勝利で飾った。この試合の出来はさしていいものではなかったが、続くバート・パラゼウスキ戦では期待に応える見事な内容で勝利した。
リカルド・ラマス戦の敗北でキャリアの一時後退を余儀なくされたが、近いうちにカムバックが期待される。
■近藤有己(新潟)
UFCでは1勝2敗だが、この戦績だけで近藤の16年に及ぶMMAのキャリアを説明しきることなど到底できない。元パンクラス王者はフランク・シャムロック、セーム・シュルト、ガイ・メッツァーらそうそうたる面子を下してきており、PRIDEではヴァンダレイ・シウバ、ダン・ヘンダーソン、イゴール・ボブチャンチンらとしのぎを削った。37歳の今も衰えを知らぬファイターは、今後UFC復帰を果たすことがなかったとしても、すでにMMA界に十分な功績を刻んでいる。
■高阪 剛(滋賀)
90年代後半の“UFC暗黒時代”を戦ったヘビー級の高阪は、近藤有己と同じように、後世のファンから正当に評価されることがない不運な存在だ。ただ、彼のファイトを見ることができなかった不運なファンたちのために説明しておきたいが、高阪は、確かな技術と勇敢さを武器とする、決して後退することを知らない真のファイターであった。
エメリヤーエンコ・ヒョードルを倒した初めての人物であり、UFCではキモ、ピート・ウィリアムス、ティム・レイシックを下した。2002年のリコ・ロドリゲス戦での敗北がオクタゴン最後の姿となったが、PRIDE、もしくはUFCの王者経験者と7度に渡って対戦した高阪の功績が色あせることは決してない。