千葉ロッテ、大きな収穫と悔しさを糧に来季へ 「来年こそは優勝を」
「チームとしては残念ながら2年続けてBクラスとなり、本当にすみませんでした。こういう結果となってしまったのは、すべて監督である自分の責任だと思っています。その責任を取って、今シーズン限りで監督を辞任いたします」
1982年に入団して以来、選手、コーチ、監督として31年間着続けたロッテのユニホームを脱ぐことになった指揮官に、ファンからは別れを惜しむ大きな拍手が送られた。
前半戦は42年ぶり首位ターン 後半に失速
しかし、オールスター後に失速。後半戦の63試合は22勝36敗5分けと大きく負け越し、5位でペナントレースを終えた。
セレモニー終了後、報道陣に囲まれて今季の戦いを振り返った西村監督の目は、少し赤く潤んでいた。
「就任1年目は日本一になったが、去年は最下位。今季はその悔しさでスタートした。夏前までは順調にいったけど、そこからチームを機能させることができなかった。こういう結果になっても応援してもらったファンのみなさんには、本当に感謝しています。(今日の試合では)回を追うごとに『これで最後なのかな』というさみしさがありました」
若手台頭という収穫も 首位打者獲得の角中ら
一つは、角中勝也がプロ6年目で初めて首位打者に輝いたことだ。今季は128試合に出場して、打率.312をマーク。2位・中島裕之(埼玉西武)に1厘差でタイトルを手にした。
「首位打者は将来取りたいと思っていたタイトルだけど、こんなに早く取れるとは思っていなかった。ほんとうにうれしいです。毎打席必死にやった結果。どんなときでも応援してくれるファンの声援があったからです」と控えめな笑顔を見せた。
角中は、四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグス出身の25歳。これまでの5年間は1軍に定着できず、今季も2軍スタートだったが、4月14日に1軍に昇格すると、5月3日のオリックス戦からは主軸を打ち続けた。オールスターにも「最後の一人」として選ばれる特別枠で初出場を果たすなど、一気にその才能を開花させた。
「これまでやってきたことの精度が上がり、自分の思うようにできるようになった。来年は今年以上の成績を残せたらと思います」
もう一つは、関西国際大からドラフト4位で入団したルーキーの益田直也が72試合登板、41ホールド、43ホールドポイントを達成し、プロ野球の新人最多記録を塗り替えたことだ。
最終戦の9回にマウンドに上がり、シーズンのちょうど半分となる72試合目の登板を終えた益田は「記録を塗り替えられたのもうれしいけど、ケガなく1軍で過ごせたのが何よりうれしい」と胸を張った。
開幕から1軍切符を手にし、楽天との開幕戦でプロ初登板を果たした。シーズン中盤には打ちこまれ、「マウンドに上がるたびに、どこに投げても打たれる気がした」と言うが、オールスターに出場した後は自分の投球を取り戻し、シーズン終了までに75回1/3を投げて防御率1.67という成績を残した。
「精神的につらい時期もあったけど、使ってくれる監督やコーチの期待もあったし、バックを守ってくれる先輩たちがげきを飛ばしてくれたことに支えられた。それに、どんな投球をしても常に声援を送ってくれるファンのためにもという思いで乗り越えることができました」
若手の頑張りに、ベテラン勢も負けてはいない。
井口資仁が200号本塁打、薮田安彦が500試合登板と1000投球回、サブローが1500試合出場、渡辺俊介が1500投球回、里崎智也が1000試合出場と100本塁打をそれぞれ達成し、実績を積み重ねていることを証明した。
こうして若手とベテランが融合し、チームは熟成されつつある。
指揮官が残したメッセージ
西村監督は、最終戦セレモニーでこんなメッセージを残した。
「来年こそは、ここにいるコーチや選手、ファンの皆さまが一つになって、絶対に優勝を勝ち取ってください。信じています」
その思いに応えるために――。今季の収穫と悔しさを糧に、千葉ロッテは逆襲へのスタートを切ろうとしている。
<了>
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