可夢偉、バトンとの死闘を制してつかんだ表彰台=絶好のスタート、終盤の猛プッシュで快挙達成
終盤のバトンの猛追を振り切る
終盤はバトンの猛追を受けたが、可夢偉(手前)はタイヤをうまく使って振り切った 【写真:ザウバー】
「最後の方はかなりキツかったけれど、途中タイヤを温存して。あまりうまくはいかなかったけれど、そこからプッシュしていって(バトンに)DRSを使わせなかった。本当に厳しかったけれど、なんとかね」と振り返った可夢偉。
「スタートで2番手に上がった時は、一瞬これなら表彰台に行けるんじゃないかとも思ったんですが、まあ、長いレースでは何が起こるか分からないんで。(昨日は最後の1周になったら表彰台のことを考えるとコメントしたが)結局最後まで表彰台のことなんて考えず、このポジションをどうやって守るか、ということに集中していた。チェッカーを受けた後、スタンドでファンのみんなが大きく手を振ってくれているのが見えて、本当にうれしかった。自分にとって初めての表彰台が鈴鹿だなんて、信じられない」と喜びを語った。
来季の去就は不透明、残りレースにベストを尽くす
記者会見の合間に、笑顔で会話するベッテル(左)と可夢偉 【田口朋典】
「F3時代は(ベッテルと)仲が良かったですからね。よく一緒にF1ゲームやったなあ、とか思い出していた」
日本人ドライバーとしては04年の佐藤琢磨以来8年ぶり、前述したように鈴鹿では22年ぶりとなった感動的な表彰台にも、「僕にとっては思い出。これからどうなるかはまだ分からないですから」と語った可夢偉の言葉通り、来季の去就はまだ不透明だ。
「周囲の人は将来のことを気にするけれど、僕は残り1戦、1戦を頑張るしかない。まだ5戦あるし、この表彰台でホッとすることもできないし、コンストラクター争いでメルセデスにちょっと近づけたかな、という感じです」と冷静に締めくくった可夢偉だが、彼が自らの力でようやく勝ち獲った表彰台というリザルトが、少なからず来季以降に繋がると信じたい。それほどに、今日の可夢偉は素晴らしいレースを見せてくれた。
<了>