敗戦の脅威はねのけV4達成のジョーンズ=UFC152回顧録
ジョーンズのキャリアが最も脅かされた試合
最大の危機に瀕しながらも見事に逆転で4度目の防衛を果たしたジョーンズ。彼を倒すファイターは現れるのか? 【Zuffa LLC via Getty Images】
しかし、UFC152におけるベウフォートとの試合は、その若いキャリアが最も脅かされた瞬間だったといえる。第1ラウンド、ジョーンズは右腕をベウフォートの腕ひしぎにとらえられた。ジョーンズは立ち上がって腕を引き抜こうとしたが、それがかえって腕をさらに引き伸ばしてしまう結果につながった。対戦相手のベウフォートは実際、ジョーンズの腕がいびつな形にねじれるのを見たし、関節が弾ける音を聞いたという。
それでもジョーンズは戦うのをやめなかった。タップを拒否し、腕が折れるのを覚悟で試合を続行した。つまり、ベウフォートがベルトを奪うためには、ジョーンズの腕を引きちぎる必要があった。
ベウフォート(左)の腕ひしぎが極まったかに思われた。しかし、ジョーンズの対応は冷静だった 【Zuffa LLC via Getty Images】
答えは「ジョーンズは落ち着きを失わず、慎重に構えて、勝利への道筋を冷静に見極める」だった。
このようなメンタリティは教えて身につくものではない。先天的に備わっているか、備わっていないかのどちらだ。もし腕に後遺症が残らなければ、ジョーンズはさらなる高みに上り詰めることだろう。
候補に挙がる3人の名前 ジョーンズの次の対戦相手は?
ジョーンズvs.シウバ(写真)の一戦が実現したら、それは史上空前のイベントとなるだろう 【Zuffa LLC via Getty Images】
ダン・ヘンダーソン、アレクサンダー・グスタフソン、アンデウソン・シウバの3人だ。
ショーグン、リョート、ランペイジ、エヴァンスには悪いが、彼らはジョーンズに圧倒された。リマッチをしても同じ結果に終わるだろう。フィル・デイビスも候補だが、彼はエヴァンスに圧倒された。すべての面でエヴァンスに劣ると見ていい。
それでは、3人の候補を順々に見ていこう。
ダンヘンは2度目の黄金期を迎えており、過去8試合で7勝している。ダンヘンはアップセットを演じる上で完璧な条件を満たしている。彼は元五輪代表のレスラーで、ジョーンズのこれまでの対戦相手のように簡単にテイクダウンされることはないだろう。さらにダンヘンには鉄の顎があるので、3発ぐらいパンチをもらっても平気だ。その間にMMA史上屈指の威力を誇る右パンチを相手にぶち込む可能性もある。さらに言うと、ジョーンズは次の対戦相手に、ダンヘンを指名している。試合が実現する可能性は非常に高いだろう。
グスタフソンも面白い相手だ。この25歳のスウェーデン人はジョーンズを除けば、この階級で最も高い潜在能力を誇るファイターだ。5連勝中で、初のタイトル挑戦権を手にする資格も十分だ。背が高く、リーチがあり、傑出したボクシングテクニックを持つ。ただ、レスリング能力に欠けるのが弱点か。数年前、フィル・デイビスはそこにつけこみ、印象的な勝利を挙げてみせた。ジョーンズ相手にも同じことが起きる可能性がある。とはいえ、グスタフソンのボクシング能力を考えれば、すべてが可能だ。
最後はシウバvs.ジョーンズだ。これ以上の説明が必要だろうか? この1戦は史上空前のイベントになるだろうし、これに勝利すればシウバは史上最強の名を欲しいままにするはずだ。問題は、お互いが対戦することに興味を抱いていない点にあるだろう。シウバはジョルジュ・サンピエール(以下GSP)と対戦することに焦点を当てている。GSPがカーロス・コンディットを倒せば、この2人がパウンド・フォー・パウンドの称号をかけて激突する可能性がある。両者の体のサイズを考慮すれば、シウバvs.GSPの方が実現する可能性は高い。しかしシウバがGSPを下せば、自ずとジョーンズvs.シウバに向けた期待は高まるだろう。
(Text by Michael DiSanto)
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