伝説の継承者 vs. ミドル級最強の男=WBC世界ミドル級タイトルマッチ展望

WOWOW

昨春から因縁が続く大一番、ついに実現

“伝説の継承者”チャベス・ジュニア、若さと勢いで無敗街道を突き進むか 【(C)NAOKI FUKUDA】

 フリオ・セサール・チャベス・ジュニア対セルヒオ・マルチネス。紆余曲折を経て注目の大一番が実現することになった(日本時間16日午前11時からWOWOWにて生中継)。この両者は昨年来、何度か対戦の可能性があったが、その都度すれ違いになり現在に至る。

 両陣営の因縁は昨春に遡る。WBCがマルチネスを名誉王者に昇格したことで、暫定王者セバスチャン・ズビック(ドイツ)が正王者に昇格。このとき、すでに「チャベス・ジュニアに道を空けるためにWBCが便宜を図ったのでは?」という憶測も飛んだものだった。案の定6月にチャベス・ジュニアがズビックに挑戦。僅差ながら判定勝ちで新王者が誕生した。12月のWBC総会でチャベス・ジュニア対マルチネスが義務化されたことで、このカードは必然性を持つこととなった。
 ところが今年2月、6月とチャベス・ジュニアはマルチネス以外の選手と2度の防衛戦を履行。これを受けマルチネスも3月にマシュー・マックリン(イギリス)を相手に試合を行い11回終了TKO勝ちを収めている。

「逃げている」というマルチネス陣営の挑発を受けながらも、チャベス・ジュニア側が対戦を先延ばしにしてきたのには理由がある。時間が経てば経つほど若い(26歳)チャベス・ジュニアは成長し、逆に37歳のマルチネスには衰えが忍び寄るからだ。現にチャベス・ジュニアはマルコ・アントニオ・ルビオ(メキシコ)を馬力で抑え込み、アンディ・リー(アイルランド)にも体力勝ちして自信を増している。一方のマルチネスはといえば、直近の2試合はやや精彩を欠いている。いずれの試合も11回でけりをつけているが、これを相変わらずの底力とみるか、年齢からくる衰えと判断するかは意見の分かれるところであろう。

オッズは7対4でマルチネス有利

マルチネスは2階級制覇しているパウンド・フォー・パウンドの上位常連、オッズはこちらが優位だが…… 【(C)NAOKI FUKUDA】

 48戦46勝(32KO)1分1無効試合と無敗を誇るチャベス・ジュニアは183センチの長身と大きな体を生かし、馬力で押し込む戦闘スタイルを確立しつつある。被せる右と左フックには破壊力もある。ズビックやルビオらを相手に12回をフルに戦いきったことで、スタミナそのものや配分にも自信が加わったことだろう。
 マルチネスはスピード、パンチの切れで勝負するサウスポーのボクサーファイター型で、53戦49勝(28KO)2敗2分の戦績を誇り、経験値も高い。2年前、ポール・ウィリアムス(アメリカ)を左一発で屠ったようにパワーもある。パウンド・フォー・パウンドの上位常連で、世界的にも高い評価を受けている選手だ。ただし、最近の2戦が一時的な不調ということであれば7対4のオッズどおり有利といえるが、歴戦の疲労や年齢から衰えがあるとしたら黄信号が灯ることになる。体力にまかせて強引に体で押してくると思われるチャベス・ジュニアの圧力に抗しきれない可能性もあり、厳しい試合になることも考えられるからだ。

 とはいえ現有戦力を比較するかぎりでは賭け率どおりマルチネス有利とみていいだろう。スピードで翻弄したあげく左を軸にした回転の速い連打で中盤過ぎにストップに持ち込む可能性も十分といえる。
 その一方で、チャベス・ジュニアが馬力で押し込み、マルチネスに間合いを与えずに強打とテクニックを封じ込んでしまう可能性もある。
 個々の能力はもちろんだが、チャベス・ジュニアのセコンドにつく予定のフレディ・ローチ・トレーナー、マルチネスにつく予定のガブリエル・サミエント・トレーナーが選手に授ける策にも注目したい。
<資料>データ比較

■生年月日
チャベス・ジュニア:1986年2月16日/26歳
マルチネス:1975年2月21日/37歳

■出身地
チャベス・ジュニア:メキシコ
マルチネス:アルゼンチン

■現在の居住地
チャベス・ジュニア クリアカン(メキシコ)
マルチネス:オックスナード(アメリカ)

■アマチュア
チャベス・ジュニア:なし
マルチネス:97年世界選手権出場

■プロデビュー
チャベス・ジュニア:03年9月
マルチネス:97年12月

■獲得王座
チャベス・ジュニア:WBCミドル級
マルチネス:WBCスーパー・ウェルター級、WBC・WBOミドル級

■ニックネーム
チャベス・ジュニア:JCジュニア
マルチネス:マラビジャ(驚異の男)

■プロモーター
チャベス・ジュニア:トップランク社
マルチネス:ディベラ・エンタテインメント

■戦績
チャベス・ジュニア:48戦46勝(32KO)1分1NC
マルチネス:53戦49勝(28KO)2敗2分

■身長
チャベス・ジュニア:183センチ
マルチネス:178センチ

■リーチ
チャベス・ジュニア:185センチ
マルチネス:191センチ

■タイプ
チャベス・ジュニア:右ボクサーファイター型
マルチネス:左ボクサーファイター型

Written by ボクシングライター原功
↓↓↓最新情報はこちらから↓↓↓
■エキサイトマッチ〜世界プロボクシング特設サイト(wowow.co.jp/excite)
http://www.wowow.co.jp/sports/excite/

◆◆◆WOWOW番組情報◆◆◆

★生中継!エキサイトマッチ マルチネスvsチャベス・ジュニア
“メキシコの英雄”を父に持つ無敗王者チャベス・ジュニアと37歳遅咲きのミドル級最強ボクサー、マルチネス。ボクシングファン待望のWBC世界ミドル級頂上決戦!

WBC世界ミドル級タイトルマッチ
セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン) vs. フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)
9月16日(日)午前11:00〜[WOWOWプライム]※生中継


★生中継!エキサイトマッチスペシャル 頂上決戦!西岡利晃 vs. ノニト・ドネア
日本人最強ボクサー西岡利晃。輝かしいキャリアの“クライマックス”として、ノニト・ドネアとのS・バンタム級頂上決戦がいよいよ実現する!

WBC・IBF・WBO世界S・バンダム級王座統一戦
西岡利晃(帝拳) vs. ノニト・ドネア(フィリピン)
10月14日(日)午前11:00〜[WOWOWプライム]※生中継


★ノンフィクションW チャンピオン西岡利晃 未踏の世界へ! 〜密着・運命の最終章〜
苦難の道を経て世界王者となった、日本人ボクサー史上最強の男・西岡利晃。キャリアのクライマックスとなる運命の一戦ノニト・ドネア戦に完全密着する!

10月26日(金)夜10:00〜[WOWOWプライム]
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント