「変化球は頭にない」クローザ―・涌井が追い求めるストレート
ストレート主体の投球になっている理由
25試合で12セーブと結果は出ているものの、涌井は自身の出来に納得していないようだ 【写真は共同】
ひとつは、「まだ全然駄目」と言っても、ストレートが最も打ち取る確率が高いからだ。井口が言うように、涌井が全力で投げ込むストレートを打つのは容易ではない。
クローザー・涌井の投球スタイルについて、現役時代に先発、抑えの経験を持つ石井貴投手コーチが説明する。
「リリーフでいきなりいって、四隅を突くのは難しい。リリーフには勢いの部分がある。先発と違って、勢いが半分くらい」
ストレートばかりを投じるもうひとつの理由は、思うような変化球を取り戻せていないからでもある。
涌井が言う。
「変化球は、後ろにいる時は意識してもしょうがない。後ろになったら腕を振ることと、抑えることだけを考えています。変化球は頭にないです」
満足のいくストレートを取り戻せ
おそらく、涌井のクローザー役は今季限定だろう。来季から再び先発に復帰するはずだ。長いイニングを投げる場合、変化球のコントロールを取り戻すことが不可欠になるが、「そうなったら、オフにコントロールを上げていけばいい」と石井コーチは言う。
今、涌井がやるべきは、とにかく思い切り腕を振ることだ。
そうして単に相手を打ち取るだけでなく、満足のいくストレートを取り戻すことができるか。
涌井の真の復活は、その一点に尽きる。
<了>