2000キロの新たな旅 沖縄を優勝に導いた桶谷HC、岩手へ移籍=bjリーグ
4季で2度、沖縄を優勝に導いた桶谷HC。今季からは岩手で歓喜の瞬間を味わうための挑戦が始まる 【(C)AFLO SPORTS/bj-league】
2度目の優勝が決断させた新天地での挑戦
「面白くないバスケをして勝つよりも、魅力あるバスケをして勝てるようなチームにしたい」と考える桶谷HCは、スピーディーかつ、アグレッシブなバスケを取り入れ、観客を巻き込んで会場の一体感を作り上げた。地元のファンを着実に増やし、リーグトップの観客動員数を誇る人気チームへと変貌させた彼の功績は大きい。
初優勝後はチャンピオンチームとして追われる立場になり、他チームからのマークも一層厳しくなった。それでも毎年プレーオフに出場し、常に優勝争いを繰り広げるものの、その後はあと一歩届かぬ王座。周囲の期待が高まれば高まるほど、選手にかかる重圧は大きくなっていった。
「今年のファイナルで勝てなかったらチームを去ろうと思っていました」。
決意を決めた桶谷HCは原点に立ち返り、全員がボールに積極的にからみ、泥臭くプレーすることを徹底。勝利への執念を掲げて臨んだファイナルで、見事3シーズンぶり2度目の優勝を手にし、改めて「強い沖縄」を全国に印象づけた。
「前回の優勝はノーマークのなか、勢いでつかんだ優勝。今回は研究されたなかで、選手が成長してつかみ取った優勝」と選手をたたえた桶谷HC。鬼気迫るプレーでゴールに向かう彼らの姿をみて、涙が出そうになったという。チームの成長を実感した桶谷HCは、自身もさらに成長しなければならないと決意。そんな彼の視線の先には沖縄連覇への道ではなく、新天地での挑戦があった。
再び、チーム作りから仕事が始まった
「真っ先に声をかけて下さり、自分としても東北のチームを元気にしたいという思いがあったので、岩手に行こうと決めました」と桶谷HC。
4年前同様、参入2年目のチームを指揮することについて、「就任1年目が一番大切な年。3年契約で3年かけてチームを作ろうとは思っていません。とにかく1年目でしっかりとチームを作っていきたい」と12−13シーズンが勝負だと語った。早速チーム作りに取り掛かった桶谷HCは、今チームが必要としているのは、若手を引っ張ってくれる経験や実績のある選手と判断。そこで京都ハンナリーズの石橋晴行を獲得した。
「ベテランの石橋がチームに与えてくれるものは大きい」と、社会人・プロ合わせて8チーム目となる石橋のリーダーシップに大きな期待を寄せる。また、「今いるメンバーの長所を生かしつつ、彼らの特徴がかぶらないような、ポジションごとのスペシャリストを補強していきたい」とチーム構想はすでに固まっており、特に岩手出身の澤口と山本吉昭を軸にバランスの良いチーム作りを目指している。
「魅力あるバスケ」を岩手で
桶谷構想の下、すでに開幕へ新チーム作りが着々と進められている 【(C)bj-league】
「自分自身も成長しなくてはいけないと思っていますし、まずこの1年は、チャレンジの一言。岩手の皆さんに楽しんでもらえるような、魅力あるバスケをしたいと思います」
温和な人柄からは想像もつかない、現状に満足せず果敢に挑戦しつづける熱い魂がそこにはあった。岩手ではどんな桶谷采配を見せてくれるか今から楽しみだ。ちなみに桶谷HCの一番の心配はというと、味わったことのない岩手の寒さとのこと。「京都出身ですし、高校を卒業してからアリゾナ、大分、沖縄と暖かいところばかりなんで、正直どうなるのか不安です……」と心配しつつも、家族とともに迎える新生活を楽しみにしているという。
沖縄から一気に2000キロ近く、北へと移動した桶谷HC。自身初の東北生活も、彼にとっては大きなチャレンジかもしれない。
<了>
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