議論の余地なき偉大なフットボールとスペインの覇権=もはやライバルは見当たらない
ラ・ロハはFWを起用すべきか
左サイドバックで定位置をつかんだジョルディ・アルバ(右)ら、新たな選手の台頭も見られた 【Getty Images】
今大会のスペインのシステムは、守備的な2人のMF(シャビ・アロンソとセルヒオ・ブスケツ)と攻撃的な4人のMF(シャビ、アンドレス・イニエスタ、シルバ、セスク・ファブレガス)が4バックの前に並ぶ、FWなしの4−2−4と表現することができる。それが時にペドロとトーレス(もしくはヘスス・ナバスとアルバロ・ネグレド)が前線に加わる4−2−2−2に変形していた。
FWの不在時は決定力が下がり、FWを起用すれば得点力が上がるという違いはあったものの、彼らが優先したのは常にボールを持ち、丁寧に扱い、独占することで、対戦相手に何もさせないことだった。
おしゃべりが欠かせない生活の一部となっているスペインでは、今後も間違いなくラ・ロハがFWを起用すべきかどうかの議論が続くことだろう。だが、ルイス・アラゴネス以前の時代に戻ることを望む者はいないはずだ。
「闘牛になるか、闘牛士になるか」の決断を迫られていた当時の代表は、闘争心だけが取りえだった“ラ・フリア・ロハ”(激高の赤=当時の代表の愛称)からボールを支配するチームへと生まれ変わった。今こそわれわれは、あの時代に下された重要な決断を祝福すべきなのかもしれない。
<了>
(翻訳:工藤拓)