岐路を迎えた可夢偉に求められること=F1 不完全燃焼に終わった6月のGP

田口朋典

次戦は5グリッド降格

ヨーロッパGPでは一時3番手に浮上したものの、ピット作業に手間取ったことで冷静さを欠き、最終的にはリタイアとなった 【写真:ザウバー】

 トヨタの秘蔵っ子としてF1デビューを飾った可夢偉は、その後ろ盾を失うも自身の走りとパフォーマンスを見せつけることでF1の世界に踏みとどまり、しっかりと居場所を築いてきた。明らかに上位陣よりも劣るマシンを操り、結果を少しずつ積み重ねて来たことで小林可夢偉の今がある。

 しかし、そのザウバーがようやく「C31はチーム史上最高のマシン」とペーター・ザウバーに言わしめるほどのマシンを手に入れた上、群雄割拠の極みとも言える予測不能の勝者乱立シーズンとなっているのにもかかわらず、その恩恵を可夢偉が受けられないことは歯がゆいと言うしかない。だが、こうした現状を打ち破るために必要なのは、やはり結果しかない。次戦イギリスGPでは5グリッド降格というペナルティーが確定している可夢偉だが、今一度、F1ドライバー小林可夢偉をビルドアップし、周囲の雑音を黙らせるためにも会心のレースを見せてもらいたい。

 バレンシアでQ2敗退を喫したアロンソが、母国の大観衆を前にまさかの逆転勝利を収めたように、そしてミハエル・シューマッハがラスト2周で一気に3位にまで駆け上り、6年ぶりの表彰台を手にしたように、F1の女神は相変わらず気まぐれだ。近いうちにきっと、女神は可夢偉にもほほ笑んでくれると信じよう。

<了>

2/2ページ

著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント