際立ったドイツの好調ぶり=ユーロ2012 グループリーグ総括

後藤健生

スペインの連覇に「赤に近い黄信号」がともった

際立つのがドイツの好調ぶりだ。死のグループで3連勝と、その強さを見せつけた 【Getty Images】

 優勝候補筆頭のスペインは、個人能力では圧倒的なものを持つ。シャビ、アンドレス・イニエスタにセスク・ファブレガスが絡むのだから、ボールキープでは常に相手を大きく上回るのも当然だ。

 だが、彼ら自身も決して絶好調ではない。チャンピオンズリーグの準決勝でチェルシーに敗退した試合を見ても、バルセロナの選手たちがかなりの疲労をため込んでいることは明らかだった。その後、スペイン国王杯まで戦ったバルサ勢は疲れが取れないままユーロに入ってしまったようだ。

 しかも、これまで圧倒的な個人能力で勝ってきただけに、チームとしての戦術やコンセプトも明確化できず、アイルランドとは個人能力の差がそのまま点差に反映されて大勝したものの、他の2試合はしっかり守ってくる相手を崩しきれずに苦戦の連続となっている。

 しかも、フェルナンド・トーレスらのFW陣も、懸念された通り得点力不足を脱しきれず、スペインの連覇には、「赤に近い黄信号」がともったと言っていい。

国内のビッグクラブをベースに代表の強化を図る

 一方のウクライナで行われた試合を見ると、本家「死のグループ」のB組で、ドイツの好調ぶりが際立っている。

 GKのマヌエル・ノイアーからトップのマリオ・ゴメスまで、心配されていたバイエルン勢の疲労もないようで、バスティアン・シュバインシュタイガーとサミ・ケディラの2人のMFを起点に見事にパスが回る。選手が走ってスペースを作り、そこに他の選手がきちんと入っていく、統制の取れた攻撃もいつものドイツだ。

 強いて弱点を挙げれば、ジェローム・ボアテングが務め、そのボアテングが出場停止となった最終戦ではラルス・ベンダーが代役となった右サイドバックの守備力くらいだろうか?

 そのほか、ポルトガルは最終戦で2得点のC・ロナウドの復活(プレー自体は悪くないが、決定力という意味で)にかかっている。イングランド、フランスは、ウクライナ、スウェーデンとは力の差が歴然としていたが、しっかりと勝ちきれたわけではない。

 こうして、グループリーグを終えて出そろったベスト8の顔ぶれを見てみると、ドイツが一歩も二歩もリード。それを、スペイン、イタリア、ポルトガルあたりが追う展開だろうか?

 やはり、一緒にトレーニングをする機会の少ないナショナルチーム。クラブチームの戦いのような、「新しいトレンド」とかを見いだすことができないのは当然(唯一、イタリアの3バックくらい)か。とくに海外組が多い国の監督は苦悩が大きいだろう。そういう状況を反映して、国内のビッグクラブをベースに代表を強化するというのが今後の流れになるように思える。バイエルンをベースにしたドイツ。レアル・マドリーとバルセロナの混成チームのようなスペイン。そして、ユベントスの戦術を取り入れたイタリアがそうだ。あるいはスポルティング出身選手を並べたポルトガルもその一例と言えるかもしれない。

<了>

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著者プロフィール

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、観戦試合数はまもなく4800。EURO(欧州選手権)は1980年イタリア大会を初めて観戦。今回で7回目。ポーランドに初めて行ったのは、74年の西ドイツW杯のとき。ソ連経由でワルシャワに立ち寄ってから西ドイツ(当時)に入った。

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